邦画嫌いの私が本気でハマった日本のドラマ4選

おすすめ・特集(ドラマ)

邦画を見わず嫌いだった私は、最近邦画にハマっています。学生の頃は、日本のドラマや映画も観ていましたが、海外の作品にハマってからは、むしろ日本の作品を観る必要がないと感じるようになっていました。クオリティにしても演技にしても迫力にしてもハリウッドに劣る邦画を観る価値があるのかと。

その考えは徐々に変わってきました。むしろ今は、邦画が面白くて仕方がないのです。今回は、私が観た数少ない日本のドラマの中で、特に私のこの考えを覆してくれた作品を紹介したいと思います。

地面師たち

あらすじ

土地の所有者になりすまし、企業に売却を持ち掛け、多額の金を騙し取る不動産詐欺集団。リーダーのハリソン山中を筆頭に、様々な役割を持つプロフェッショナルな地面師たちが大手デベロッパーに詐欺を仕掛け、多額の金銭を手に入れていた。そんな彼らが次に狙いを定めたのは、100億円の市場価値を持つ港区高輪にある光庵寺の駐車場だった。ありとあらゆる手を駆使し、前代未聞の詐欺を遂行しようとする。そして、その罠に引っかかったのは、なんと最大手の不動産会社「石洋ハウス」だった…

原作新庄耕
監督・脚本大根仁
製作総指揮高橋信一
プロデューサー吉田憲一、三宅はるえ
音楽石野卓球
キャスト綾野剛、豊川悦司、ピエール瀧、北村一輝、小池栄子、染谷将太、リリー・フランキ―、山本耕史、池田イライザ、マキタスポーツ、松尾諭、駿河太郎、アントニー、松岡依都美、吉村界人…他
配信NETFLIX

▽地面師たちの役割分担

  • 作戦や全ての統制をする地面師たちのリーダー(ハリソン山中:豊川悦司)
  • 詐欺においてフロントに立ち、実際に企業との交渉を行う交渉役(辻本拓海:綾野剛)
  • 土地や所有者の情報を集める図面師(竹下:北村一輝)
  • 元司法書士で専門知識を持つ法律屋(後藤義雄:ピエール瀧)
  • なりすまし役をキャスティングする手配師(稲葉麗子:小池栄子)
  • 書類などの偽造を手掛けるニンベン師(長井:染谷将太)

実際の事件を基にした作品

2017年6月1日に積水ハウスが地面師グループに2000平米の一等地の購入代金として55億5千万円を騙し取られた「積水ハウス地面師詐欺事件」実際のターゲットとなったのは、東京都品川区西五反田にあった「海喜館」という旅館で時価100億円と言われていました。パスポートの偽装や巧みな口合わせなど、不可能と思われた詐欺を実際に成功させ、日本中を驚かせた事件です。実際の事件では15人ほどの逮捕者が出ましたが、不起訴になる者もおり、未だに謎の部分が多い事件です。

キャラの濃い登場人物

少々癖の強い登場人物が多い印象で、漫画やアニメからの実写化と言われても違和感がありません。

台詞回しが独特で、友人間で使いたくなるユニークさとユーモアがあります。その中でも「最もフィジカルで最もプリミティブで最もフェティッシュなやり方でいかせていただきます」というハリソンの台詞は、彼の変態具合や異常性を表していて、むしろ清々しいです。

くるみ
くるみ

おすすめしてくれた友人も、私が観たよ~と報告すると開口一番この台詞をかましてきました!笑

また、ハリソン山中の残虐性もこの作品をただのホワイトカラー犯罪ではなく、切迫したサスペンスに足らしめています。ハリソン山中を追いかけるリリー・フランキーさん演じるベテラン刑事も登場するのですが、知能犯であれば逃げることを優先にするのでしょうが、このハリソン山中という男は、超ド級のサイコパスです。そんな危ない奴にどう立ち向かうのか、観ているこちらが肝を冷やす場面が多々あり、観入ってします。

ターゲットとなってしまった石洋ハウスの青柳部長も、昭和の熱血ビジネスマンとパワハラ野郎の両面を待ち合わせ、時にスタイリッシュで決めるとこは決めるカッコよさと無様さを山本耕史さんが絶妙な演技で表現しています。

演技力に関しては申し分なく、豪華な面々が揃っています。この少々大げさな演技が癖になりますよ!

師弟関係

ハリソン山中拓海の関係は、少々艶っぽく怪しい雰囲気も漂っています。拓海に地面師としてのスキルやノウハウを与え、自身の最高傑作と呼び贔屓しているため、他の地面師たちのことは、駒としか思ていなさそうです。

サイコパスであるハリソン山中と心に闇を抱え堕ちていく拓海。この関係は、「ハンニバルシリーズ」のレクター博士とウィル・グレアムに似ているので、シリーズの雰囲気が好きだった方や関係性萌えを楽しみたい方にもおすすめです。

巧妙な駆け引き

この作品の魅力は何と言っても騙すか騙されるかの攻防戦

詐欺師たちの巧妙な手口に企業側も黙ってはいません。しっかりと土地の持ち主本人にしか分かり得ない情報や質問を構え、落とし穴を設置し、待ち構えています。この危機をどう切り抜けるのかという所が見どころの一つ。

地面師たちのアドリブが冴えわたり、臨機応変に対処していく。お互いのプロ根性が激突し、熱い駆け引きにどちらを応援するべきか感情が行ったり来たりと心が揺れ動きます。

実際の事件を忠実に落とし込み、良い具合にスパイスを加え、最高に危険で刺激的な作品に仕上げています。実際の手口や交渉場面など、実際にもあったであろう事件の細部を垣間見ることができます。もちろん犯罪なので悪いことなのですが、狡猾で巧妙な駆け引きにワクワクしてしまうんですよね!

まとめ

騙す快感と罪悪感、そして人間の欲望。どちらの目線からも描かれるため、終始胸がざわつきますが、その絶妙な緊張と緩和のバランスと先が読めない展開が癖になり、一気見必至です。一話だけ観てみるつもりが、面白すぎて一日で全話観てしまいました(笑)

ド派手なアクションがなく、基本的には会議室などの地味な会話劇のはずが、スタイリッシュなテクノ音楽と臨場感溢れるギリギリのやり取り、そして時に描かれるバイオレンスな描写など、テンポの良い展開に釘付けでした!

極悪女王

あらすじ

プロレスラーになることを夢見る少女・香は、家族4人で暮らしている。父親のギャンブル癖がひどく、浮気癖もあり、家族は貧しい暮らしを強いられていた。そんなある日、全日本女子プロレスの新人オーディションが開催されることを知り、香は胸を躍らせる。なんとかオーディションに受かった香だったが、同期たちに置いて行かれ、先輩たちからはいじめられる日々が続いていた。そんな中でも、同期の長与千種とはお互いに落ちこぼれ同士、互いを高め合い、強くなることを誓った。しかし、千種が人気になっていく中で香は疎外感を感じ始める…

企画・プロデュース鈴木おさむ
製作総指揮高橋信一
監督白石和彌
脚本鈴木おさむ、池上淳哉
キャストゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽、斎藤工、黒田大輔、村上淳、音尾琢真、えびちゃん、隅田杏花、水野絵梨奈、根矢涼香、鎌滝恵利、安竜うらら、堀桃子、戸部沙也花、鴨志田媛夢、芋生悠、仙道敦子、野中隆光、西本まりん、宮崎吐夢、美和枝、清野茂樹、瀧川英次…他
配信NETFLIX

実話を基にした作品

1980年代にカリスマ的人気で女子プロレスを牽引し、プロレス界の名物ヒール(悪役)としてリングにのし上がったダンプ松本。また、当時はアイドル的な人気を博したダンプのライバル・クラッシュギャルズの長与千種とライオネス飛鳥。彼女たちの現役時代の思い出、苦悩や代償を描く。

覚悟の物語

優しすぎる香は、相手を傷つけることを躊躇し、攻撃すらできない。武器を使うなんてもっての外。誰がこんなに優しくて可愛い子が後の名悪役・極悪同盟の“ダンプ松本”になるなんて想像できるでしょうか。

彼女が松本香からダンプ松本へと変貌する過程はとてもドラマチック。まさに闇落ちという言葉が似あうカッコいい仕上がりです。悪役に徹する姿には、強がり、悲しみ、妬み、そして使命感を感じます。その精神力は、到底私たちの想像に及びません。

まさしく覚悟であり、そして“プロ”の姿でした。

迫力満点の試合

流血盛りだくさんの壮絶かつ過酷な試合。フォークやチェーンなどの武器を持ち込み、相手を血まみれにするダンプ松本の鬼畜な戦闘スタイルは、時に目を背けたくなる残酷さを持っています。

しかしながら、それがあるからこそ観客は燃え上がり、クラッシュギャルズが反撃に出た瞬間の快感が生まれる。怖いもの見たさの人間の欲望を刺激し、私も自然と画面から目が離せなくなっていました。

白熱した勝負でもあり、エンターテイメントでもある。それは、どこかリングの中で繰り広げられる映画を観ているような不思議な感覚でした

熱い友情

共に強くなることを夢に見た同期たちは、いつしか心が遠くなっていく。

理想と現実、それぞれの理想のプロレスラー像と実際の人気やチケットの売上で左右される事務所の傾向や圧力など、立ちはだかることは山ほど。そんな辛い日々を超えてたどり着いた場所は、“自分たちのプロレス

立場が変わり、心が離れていても、あの頃の絆に変わりな。そんな最後の熱い展開になぜか立ち上がり、気付いたら観終わっていました。ラストの高揚感と興奮、一言でいうとエモいのです。そして観終わった後の満足感が異常に高く、何度も見たくなるほどに

まとめ

5話という短いエピソード数で簡潔に描かれており、無駄がまったくなく、一気見もできてしまう長さです。何より、シンプルに青春ものとしても、スポ魂ものとしても見ごたえのある作品になっています。

俳優たちが役になりきり、体当たりで演技をしている姿は感動ものです。画面の中に出てくるのは、俳優ではなく、正真正銘プロレスラーでした。いかにリアルに見せるか、俳優たちの情熱と巧みな魅せ方に引き寄せられ、そして昭和という空気感が心地良い。

私のようにまったくプロレスに触れてこず、知識がない者でも、胸が熱くなりましたし、最後には波のように込み上げてくる怒涛の感情に涙が自然と零れていました。

アンナチュラル

あらすじ

不自然死究明研究所、通称UDI(Unnatural Death Investigation Laboratory)は、日本に新たに設立された死因解明に特化した研究機関。日本における解剖率は僅か2割程という低い水準に位置している。そんな現状を改善するために建てられた。そこで法医解剖医として働く三澄ミコトやベテランの法医解剖医の中堂系、臨床検査技師の東海林夕子、記録員の久部六郎、所長の神倉保夫らと協力しながら、「死」の向こう側にある真実を追い求める…

脚本野木亜紀子
監督塚原あゆ子
プロデューサー新井順子、植田博樹
演出塚原あゆ子、竹村謙太郎、村尾嘉昭
音楽得田真裕
キャスト石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、松重豊、池田鉄洋、竜星涼、小笠原海、飯尾和樹、吉田ウーロン太、北村有起哉、大倉孝二、薬師丸ひろ子…他
配信NETFLIX,U-NEXT,Disney+,Amazonプライムビデオ

高純度のミステリーとヒューマンドラマ

様々な事案を解き明かしていった先に見つけた真実はどれも切なく、印象に残るエピソードばかり。巧妙なミスリード、事件の概要も2転3転と転がり、飽きさせません

事件を追う中でたどり着いた真実は、尊くも儚い人々の人生の最後。そして、突然の別れを告げられ、残された側の人々の未練や執着。

これは、亡くなられた人々の物語であると同時に、我々残された側が過去と決別し、前を向き進んでいくという生と死の両方を描いた作品だと感じました。そんな人間の弱さや悲しみ、思い出もすべてを優しく包み込んでくれる暖かい作品です。

また、誹謗中傷やいじめ、過重労働など様々な社会問題を提起しています。また、予言のようなエピソードがいくつかあることに驚きました。特に1話の「名前のない毒」はまさしくコロナを彷彿とさせます。

安定安心のチーム

UDIラボのチームの会話の軽快さと仲の良さ、真摯に仕事に向き合い、打ち込む姿、すべての登場人物が愛すべきキャラクターで、このメンバーのやり取りを観ているだけでも楽しい。

三澄ミコトや中堂系には、重く暗い過去があります。特に中堂系の過去に関しては、この作品の最終話で描かれる重要な部分のため、彼の不安定な部分が描かれていますが、それでも自分を見失わず、ブレないキャラクターとしての安定感があります。

それぞれのメンバーの背景にはあまり踏み込まず、適度な露出に留めており、彼らが人々を導くしっかりとしたお仕事ドラマになっている部分がとても観やすく、なおかつ1話完結型でもあるため、お手頃感もあります。

因縁の事件

一話完結と言いましたが、中堂系の元婚約者が殺害された事件は、各エピソードに挟まれる形で描かれていきます。その事件には、奇妙な共通点があり、被害者の口内に赤い金魚の跡が残されていました。

「死」の真相を追いかける中で、唯一本当の意味での「不条理の死」が描かれているこの事件。悲しい物語の中で、一筋の希望を見出す美しさがある作品の中で、この事件の気持ち悪さはこの作品の良質なサスペンスのスパイスになっています

まとめ

主題歌のLemonが、毎話涙腺を崩壊させてきます。この作品を観ると、笑い合い、喧嘩し合う友人や家族がいることって奇跡であり、生きているその瞬間が本当に愛おしいものだと感じます。

この世界に彼らがいて、今でも誰かの人生を救っているのかなと、ふと感じます。それほどにこの作品を身近に感じ、何度も観たくなる大好きな作品です

各エピソードの完成度の高さや仲の良いチーム、そして因縁の事件などミステリーサスペンス要素盛りだくさんで、全体的なクオリティの高さは保証します!!

MIU404

あらすじ

警視庁刑事部・第4機動捜査隊、通称MIU404(Mobile Investigation Unit)は、働き方改革の一環として増設された機動隊である。新たに任命されたのは、過去に捜査一課に所属していた志摩一未と警察署をたらい回しにされている問題児・伊吹藍の二人だった。地域を巡回し、事件が起きた際には、いち早く現場に駆け付け初動捜査に当たる。それは被害を最小限に抑え、これ以上傷つく人が出ないよう食い止めるために…

脚本野木亜紀子
監督塚原あゆ子
プロデューサー新井順子
演出塚原あゆ子、竹村謙太郎、加藤尚樹
音楽得田真裕
キャスト星野源、綾野剛、橋本じゅん、麻生久美子、水上恒司、渡邊圭祐、金井勇太、生瀬勝久、番家天嵩、黒川智花、菅田将暉、大倉孝二、酒向芳、小日向文世…他
配信NETFLIX,U-NEXT,Disney+,Amazonプライムビデオ

最高のバディ

太陽のように笑い、風のように走り、子供のように泣く伊吹藍と卓越した観察眼と冷静な判断力を持ちながらも心に闇を秘める志摩一未。この二人のやり取りがコミカルで、テンポが良く、アニメのような軽快さがあります。また、事件を通して描かれる二人の成長物語も見ごたえあり!

この凸凹コンビがとにかく愛おしい。反発しあっていた二人が次第に心を開き、唯一無二の相棒となっていく王道のバディもの!むしろ、暴走する大型犬・伊吹をコントロールする志摩といった感じが本当に可愛い。

ベテラン刑事の陣馬耕平とキャリアである九重世人コンビもまた良し。父親のような包容力と刑事として、そして人間として九重を正しい方向へ導く陣馬。この二人の相棒であり、親子のような関係は、観ていてほっこりします

人生の分かれ道

今作では、様々な人々の人生の岐路を描いています。障害物の数や家庭の環境、大切な人の死や忘れられない過去など、人生は人それぞれ生まれ持ったものや経験で彩られていきます。戻れなくなった者を救い上げ、正しい道に導いてあげたいという強い意志と願いが込められています。

間に合うか、間に合わないか。その人に手を差し伸べることができるのか。時間との勝負であり、そのハラハラ感に見入ってしまう。また、伊吹には足が速いという設定があり、このテーマとの調和が疾走感を生んでいるように感じました。

また、虐待や外国人労働問題、貧困など他にも様々な社会問題に切り込んでおり、時に現実を残酷に突き付けてきます。重いテーマを扱っていますが、作品全体の雰囲気は、明るくアップテンポなので、気持ちが落ち込みすぎたりすることもなく、バランスの良い作りになっています。

魅力的な悪役

理由のない犯罪、犯罪をただの暇つぶしとも思える行動を取る久住という男。むしろ人生自体が暇つぶしのようにも見えます。何を考えているのかわからず、へらへらとエセ関西弁を話す掴めない余裕さが、どこかミステリアスで魅力的

また、久住は好奇心でも犯罪を犯しているイメージがありました。その他にも親切心に付け込んだり、有名になりたいという承認欲求などの人間の欲を利用した現代の犯罪という印象が強いのもこの作品の特徴だったように思います。

まとめ

社会問題などの重厚なテーマを交えながらも、作品の雰囲気は明るく、観終わった後に残るのは人生の尊さ。機動捜査隊は、この街の人々を見守り、困っている人がいれば駆けずり回り助ける。間に合わなかったと悲しむ姿も、間に合ったと抱き合う姿も胸にグッとくる。

刑事ドラマとしては、ミステリーサスペンス要素は薄く、どちらかと言うとヒューマンドラマが強い印象です。後半に進むに連れてお互いの依存度が高くなっていく志摩と伊吹。様々な人々の人生に触れ、傷付きながらも前に進んでいくこのバディを眺めているだけでも至福の時間でした。

まとめ

今回は、邦画嫌いな私が本気でハマった日本のドラマを紹介しました。

最近は、日本の作品に対する苦手意識がなくなってきました。おそらく私の中で日本の作品は、恋愛もののイメージが強かったため、これまで避けてきていました。海外の作品ばかり観てきた私にとって、邦画は逆に新鮮で良い刺激になっています。

今回紹介した作品は、一気見をしてしまうほど夢中になったのですが、それと同時に、最終回が来るのが嫌でたまらない作品でもありました。ずっと観ていたい、続いてほしいと思う作品たちです。せぜひ、観てみてください!

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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