海外ドラマ「ザ・キャプチャー 歪められた真実」防犯カメラに映された犯行の瞬間、それは真実かそれとも…

ドラマ

この記事には、ネタバレが含まれますので、ご注意ください。

スコア : ⭐️⭐️⭐️

遠いようで身近な問題、何が真実で何が嘘なのか、恐ろしくも興味深く見応えのある作品でした!

作品情報

  • 『ザ・キャプチャー 歪められた真実』
  • 制作年 : 2019年
  • 監督・脚本 : ベン・チャナン
  • キャスト : カラム・ターナー、ホリデイ・グレインジャー、ローラ・ハドック、ベン・マイルズ、ロン・パールマン、ファムケ・ヤンセン、キャバン・クラーキン、ジニー・ホルダー、リア・ウィリアムス他

本作は2019年9月にイギリスBBC Oneで放送され、iPlayerで2000万件を超えるリクエストを受け取ったヒット作です。

あらすじ

アフガニスタンでの任務中、無抵抗のタリバン兵を射殺、戦犯として罪に問われたショーン・エメリー。優秀な弁護士ハンナ・ロバーツの尽力のおかげで、彼の無実が証明された。そのお祝いパーティーに参加した後自宅に帰ったエメリーだったが、突然家に警察が押しかけ彼を逮捕してしまう。罪状は、ハンナ・ロバーツへの暴行と誘拐拉致だった。現場に駆り出されたのは、テロ対策司令部から刑事課へ出向していたケアリー警部補。失踪事件の裏にある大きな陰謀に挑む。

ネタバレなし感想

物語でありフィクションのはずだが、観ている内にとても他人事とは思えなくなってくる。最近では、あたかも本人が話しているかのように見せるディープフェイク映像画像の加工など事実を曲げようと思えばいくらでも実現可能だ。その身近な恐怖スリリングかつエンターテイメントに仕上げた良作です。

人物や組織の思惑が入り乱れ、誰も信用できない。正義は犯罪と紙一重、そんな印象を持ちました。

世界で防犯カメラの数が多いのは中国。次いでアメリカ、ロシア。日本はドイツ、イギリスと並び多くの防犯カメラを設置しています。映像は嘘をつかない。SNSやネットが当たり前の世界で、毎日膨大な情報を受け取っている我々の先入観を突いた恐ろしくもドキドキハラハラなミステリーサスペンスとなっています。

個人的には、レイチェル・ケアリーを演じたホリデイ・グレインジャー美しさと瞳の奥に見える信念を貫き通す芯の強さがとても魅力的でした。

そしてショーン・エメリーを演じたカラム・ターナー。彼は本作で、英国アカデミー賞テレビ部門で主演男優賞にノミネートされていました。惜しくも受賞は逃しましたが、彼の差し迫った演技は一見の価値がありますよ

全エピソード(ネタバレあり)

第1話 悪夢

ロンドンの南サットン監視センター、2人のオペレーターが街の様子を監視し、喧嘩や犯罪が起きた際、早急に連絡・対応できるよう安全を確保していた。すると、オペレーターの一人が2人の男女を目撃する。彼らは言葉を交わし、そしてキスをした。女性が別れを告げバスに乗ろうとしたその瞬間、オペレーターは顔色を変え、司令室へと連絡を入れる。

その頃、ロンドン警視庁のレイチェル・ケアリー警部補は、テロ対策司令部からキャリアを積むために刑事課に出向していた。殺人事件を捜査していた彼女は、殺害を目撃したにも関わらず、見なかったと話す子供を説得する。そんな中、裁判所へ来いと連絡が入る。それは、以前彼女が所属していたテロ対策司令部からだった。未然にテロを防ぎ、4人の実行犯を逮捕、有罪にこぎつけた祝杯への誘いだった。

一方、アフガニスタンでの任務中、無抵抗のタリバン兵を無惨にも射殺したとして有罪・投獄されたショーン・エメリー兵長。彼には別れた妻と娘がいた。裁判が始まったがエメリーは不利だ。映像には、彼がタリバン兵を殺害した瞬間が映っていた。真意を問われたのは、「下がれ」というエメリーが発した警告音声がタリバン兵を撃ったあとに発せられていたこと。有罪の判決を覆すことは不可能かと思われた。しかし、エメリーの弁護士であるハンナ・ロバーツは、証人にビデオエンジニア兼放送コンサルタントのリーヴィー氏を呼んだ。彼によると、映像にはドリフトが見られると言う。ドリフトとは音声が遅れることをいう。録画時間が長くなるとズレが生じ、1時間の映像では5秒ほどのラグが出ると話すリーヴィー氏。5秒のズレを修正すると、「下がれ」という警告後に発砲しているということがわかり疑いは晴れた。

その足で妻と娘に会いに行くエメリーだったが、約束の日ではないため2人は怪訝そうだ。その日の夜、エメリーの無罪を祝してパーティが開かれ、たくさんの親戚や友人が集った。その場には、弁護を務めたハンナ・ロバーツも同席していた。判決は覆ったが、周りはまだ自分のことを冷酷な殺人犯だと思っていると言うエメリー。ハンナはこう返した。あれは兵士としての反応であり、正当防衛だと。エメリーが席を外した隙にハンナは店を出てしまっていた。車で彼女を探し、バス停へ向かうハンナを見つけた。2人はキスを交わす。その様子を見ていた南サットン監視センターのオペレーターは、その直後驚くべき瞬間を目撃、急ぎ司令室へ連絡する。それは、エメリーがハンナに暴行し、車で連れ去る瞬間だった。

ケアリー警部補が現場へ駆けつけた。目撃者はなし、連れ去ったと見られる車は1996年式クローバー、持ち主はクロイドンの老人だと判明する。顔認証にかけるため、ケアリーはテロ対策司令部の元同僚達に相談する。車を運転していたのはエメリーだと断定された。その夜、警察がエメリーの自宅へ突入、彼を暴行及び拉致の容疑で逮捕した。しかし、彼の自宅や車には女性の姿はなかった。

第2話 記憶と記録

エメリーは逮捕時抵抗したため、暴行、拉致及び公務執行妨害も加えられた。エメリーは以前の裁判の際、ハンナと共同弁護人を務めていたチャーリー・ホールを弁護士として呼ぶ。ケアリー警部補とフリン巡査部長が聴取に入った。2人はエメリーがハンナ・ロバーツを誘拐したと断定していたが、エメリーは、「一体何のことだ」の一点張り。防犯カメラの映像では、2人が言い争い、エメリーがハンナを暴行、そして拉致する映像が映し出される。その映像を見たエメリーは、「これは事実とは違う」と困惑。その尋常ではない彼の反応にケアリーもどこか半信半疑に。彼には犯行の記憶がないのかもしれないと疑う。エメリーも自分がこんなことをするはずがないとわかりつつも、真実がわからなくなっていた。

そんな時、あの証拠映像が非開示となってしまう。安全保障上の理由で証拠として使えないと言うのだ。ケアリーは、保安局(MI5)からの要請ではないかと考えた。勾留時間は19時間。他に証拠もなく目撃者もない。そんな状況で新たな証拠を見つけるのは至難の業だ。

警察は車の進行方向を捜査、遺体の発見を第一とした。車には、目に見える血痕などの明らかな証拠は見つけられなかったが、DNAが発見された。しかし、このDNAは本人や彼の家族のものでハンナのものではなかった。バスの運転手も犯行を目撃しておらず、遺体もなければ事件にならない。八方塞がりだ。

ケアリーは、テロ対策司令部の元上司であるダニー・ハートにあることを頼む。それは、あの証拠映像を非開示にした理由を探ってほしいというもの。

エメリーは起訴前保釈で勾留を解かれる。保釈期間は28日。エメリーは釈放後、妻と娘に会いに行くが門前払い。自宅に戻った彼は、ハンナに電話をするが応答はない。その日から彼は、ハンナとの別れ際の映像がフラッシュバックするようになる。自身の記憶なのか、映像から影響されたものなのか。

エメリーは自分の無実を信じ、自らハンナを探すことにする。まず、弁護士事務所のチャーリーを訪ねるが、以前警察署で見せられた映像を信じた彼は協力を拒否。エメリーは、ハンナの家に侵入するために友人のマットに協力を依頼する。しかし、彼はエメリーが戦争のPTSDでカウンセリングを受けなかったことでおかしくなってしまったのではないかと疑う。それでも放って置けないマットは、エメリーに協力することを選ぶ。

第3話 追跡

ナディア巡査は、エメリーの妻に話を聞きに行った。離婚したこと、その時期など。そして、暴力を振るったことはあるかと尋ねた。カレンは彼を子供の頃から知っていた。彼の生い立ちや性格、そして怒りっぽく精神的に不安定、嫉妬深く酒飲みで厄介なパートナーだったと話す。しかし、暴力を振るったことは一度もないと言う。

フリン巡査部長は、南サットン監視センターで事件を目撃したオペレーターから話を聞いていた。彼女は気になることが一つあると言う。暴行事件が起こる時、大抵は事前に予測できる。人物の筋肉の緊張や表情から。しかし、彼にはそれが見られなかったと言う。

ダニーは、ケアリーにMI5の動向や映像の非開示の理由を探ったが、何もわからないと話す。エメリーは、ハンナがバスに乗ったと証言していたが、バスの防犯カメラに彼女は映っていなかった。MI5もしくは国防省が軍人の保護のため、証拠隠滅を図っているのではと疑うケアリー。MI5の機嫌を損ねることはするなと念を押される。真実は未だ謎のままだ。

エメリーはマットの力を借りてハンナの家に侵入をする。寝室には、散らばったアクセサリーがそのまま残されていた。部屋を観察していると、見知らぬ男がハンナの部屋に潜んでいたのだ。逃げ出したその男を追ってエメリーはタクシーを捕まえ、前の車を追いかけてほしいと運転手に告げる。少し車を走らせていると、なぜかタクシーの運転手が尾行をやめ、別の道へと走り出す。タクシーの扉は施錠されており、エメリーはタクシーから出ることができず、イートンスクエア48番地へと誘われる。

しかし、ここで奇妙なことが起こった。エメリーをモニターで監視していたケアリーは、その住所を現場にいるフリン巡査部長達に伝える。彼らが向かった先では、エメリーの姿どころかタクシーの姿も見えていないのだ。

エメリーは、謎の人物に建物の中に入るよう促される。そして、ハンナの居場所を教えなければ、マットを殺すと脅される。この建物の中と思われる映像からは、男達に囲まれ拷問されているマットの姿が。エメリーは、マットを助けるため、他の部屋を探すが、マットを見つけることはできなかった。そして、スタンガンで気絶させられてしまう。

そんな中、唯一の証拠映像であるバス停のエメリーとハンナの映像がネットに流されてしまう。

第4話 死角

防犯カメラの映像から、建物の中にエメリーがいると踏んだケアリー達は家の中の捜索を決心する。だが、建物をくまなく探してもエメリーを見つけることはできなかった。

エメリーを乗せた車は、彼をトランクに入れたままどこかへ走り出した。エメリーは、車のバックミラーを壊し、そこからトランクを開け脱出することに成功。逃げ出したエメリーは、ネットにばら撒かれた証拠映像を分析してもらうためリーヴィーのところへ。リーヴィーは、顔の画像さえあれば映像を偽造することは可能。しかし、ライブ映像というのは加工できないと言う。エメリーは、逃げるようにリーヴィーから別れ、子供の頃に秘密で使っていた空き部屋に逃げ込んだ。何度もハンナとの最後の会話がフラッシュバックする。

一方ケアリーは、エメリーと謎の人物達が建物に入っていく映像の再確認をしようとした。しかし、その映像はデータに残っておらず、当時一緒にいた職員の姿も見当たらなかった。映像もなく、証人もいない。残ったのはケアリーがその映像を見たという口だけの証言となってしまった。

リーヴィーはエメリーが去った後、ケアリーに連絡。リアルタイムの防犯カメラの加工は不可能だが、カメラをハッキングし、事前に用意した映像を差し込むことは可能である。バスが視界を遮ったタイミングでカット編集をされている可能性があるという。それを聞いたケアリーは、気がかりなことを思い出した。テロ事件の犯人逮捕の決め手となった防犯カメラの映像。その事件も防犯カメラの映像が決め手となり、犯人逮捕に至っていた。そして何より、犯人達は関与を否認していたのだ。映像を再度確認すると、武器取引の前にトラックが横切っていた。

エメリーは、秘密基地で身を潜めていた。すると、そこに友人のマットがやってきた。あの組織の元からどうやって逃げ出してきたのかと問うエメリー。しかし、マットはそんなことは起きていないと言う。エメリーは、この監視カメラだらけのロンドンを出たいと話す。マットは、一緒に行くことはできないが、車なら貸してやると言った。エメリーは車を運転中、マットからメッセージを受けた。そこには「すまない、仕方なかった。」と書かれていた。そして、ある異変を感じる。それは、トランクの中で何かがぶつかるような音だった。エメリーは、トランクを恐る恐る開けた。その中にはなんと、ハンナの遺体があったのだ。

第5話 CIA

エメリーは言葉を失った。この状況は、彼にとって明らかに不利だ。至る所にある防犯カメラ、警察が見張っていることをわかっていたエメリーは、現場から逃走した。逃げるエメリーをケアリーが発見、説得を試みる。ケアリーは、エメリーと同じ状況に陥り、やっと彼を理解し始めていたのだ。しかし、一瞬の隙をつかれてエメリーに車を奪われてしまう。去り際に彼は、イートンじゃなく、ガスターだと彼女に言った。催涙ガスを受けていたエメリーは運転を危険と見做し、その後すぐに車を乗り捨てて徒歩で逃走を続けていた。すると突然、横から何者かの車で跳ねられてしまう。

ハンナは、今日まで生きていた。死亡したのは数時間前だということが判明する。無力感に苛まれるケアリー達。遺体解剖が管轄とは別の場所で月曜日まで行われないことを知ったケアリーは、遺体を秘密裏に移すよう手配する。そして、フリン巡査部長にはガスター通りを調べるように伝える。

車に撥ねられ、謎のグループに拉致されてしまったエメリーは抵抗した。だが、彼らはエメリーを助けようとしていた。彼らは、エメリーの靴に発信機が仕掛けられていることを伝える。そして、ハンナの遺体が発見された今、エメリー自身が第一容疑者であり指名手配中であるということを知らされる。その上で捕まりたくなければ付いて来るように指示を受ける。

エメリーを追っていた謎の組織は、投げ捨てられていた発信機を見つける。そして、リーダーと思わしき男は、ある人物に電話をする。その人物がガーランド警視だったのだ。ハンナを探すためにエメリーを拉致したのは、テロ対策司令部なのだろうか。

ケアリーは、ダニー・ハートに相談した。テロを未然に防いだシカモア作戦、そしてエメリーの件、どちらも車が横切るタイミングで編集されていると。ダニーは、改ざんのことをすでに知っていたような素振りだが話そうとしない。

ケアリーとフリンは、エメリーから聞いたガスター通りへやってきた。イートンスクエアとそっくりな建物、おそらくこの通りの番地を編集して映像を流していたのだ。ケアリー達は家の門を叩いた。中へ通されたケアリー達はフランク・ネイピアという男と出会う。彼がエメリーを拉致していた張本人だ。この活動は機密扱いで、この住所の存在すら証明できないと話す。

一方エメリーは、アルマと呼ばれる女性の指示に従い付いていく。彼女は全てが解決に向かえば、肩の荷が降りると言うがエメリーは信じられない。自分の弁護士が殺害され、元恋人からも疑われ、警察からも追われ、ましてや自分さえも信じられなくなっていると話すエメリー。すると、アルマはこう言った。奴らは、修正措置(コレクション)と呼ばれ、好き勝手に真実を曲げている。奴らとは一体何者なのかと訪ねるエメリーだったが、アルマは口を閉ざした。

ケアリーは、ガスター通りから戻る途中フリンに謝った。テロ対策司令部ではなく、あなた達に頼るべきだったと。そして、映像の改ざんのことを話した。フリンはその話を聞いて、あることを思い出した。南サットン監視センターのオペレーターの話だ。バスが横切る前のエメリーには、肩の緊張や筋肉の動きに予兆はなかった。やはり、バスが横切った所で編集が加えられている信憑性が増したのだ。

そんな時、ケアリーに一本の電話が。リーヴィーが自宅で倒れた状態で見つかったというのだ。最後の着信履歴がケアリーであった。彼は意識不明の重体だ。ケアリーは、何者かに命を狙われたと考え、自分のチームにも危険を知らせる。その頃、フリンはケアリーと別れ、バスで帰宅するところだった。フリンは何かに気づいて驚き、バスを見送りタクシーに乗り込んだ。

その夜、ケアリーの元にガーランドがやってくる。その傍にはナディア巡査がいた。遺体の移動指示を出したことが法に背いたことになると忠告に来たのだ。そして、監視カメラの映像を漏らした張本人として懲罰審査できると。ケアリーは、捜査から外されてしまった。

第6話 正義の巡礼者

ケアリーは、停職処分を受けた腹いせと真実を話さないダニー・ハートへの怒りで彼らの会合に乱入。自分が昇進したのは、シカモア事件で証拠を掴ませ、利用されたからだと言い張る。何人を不当逮捕に追い込んだのかと問い詰めるケアリー。ダニーは改ざんがあったとしても、殺害については関係ないと言う。そして彼は、ハンナ・ロバーツのことを「バカ女」と呼んだ。人権派弁護士が英国軍人の弁護を引き受けるだろうか、被害者の身辺調査もするようにと。

フリンは、もし映像に送信の遅れがあるのなら1便前のバスにハンナが乗っていたのではないかと考えた。そして、確認した映像にはエメリーの言った通り、ハンナがバスに乗っている姿が映っていた。

その頃エメリーは、アルマに連れてこられたクラブでハンナの家にいた謎の男を見つける。追いかけると、そこには謎の団体が。そして、姿を見せたのは、ハンナの同僚のチャーリーだった。チャーリーは、エメリーに見せたいものがあるという。その映像は、バス停の編集加工される前のものだった。バスに乗り込むハンナ、それを見守るエメリーの姿がしっかり映っていた。自分の無実が証明される。修正措置(コレクション)の闇を暴けると。しかし、エメリーを陥れたのはCIAの修正措置(コレクション)ではないと言う。

これは、ハンナやチャーリー達がグループ全員で事前にリハーサルを行い、エメリーに誘拐の罪を着せるものだった。そしてそれを、後に捏造されたものだとして公表。CIAの修正措置(コレクション)で有罪になってしまった人々を救うための作戦だった。たまたま選ばれたのがエメリーだった。戦場で人を殺めたPTSDを負った兵士、女性に拒否された怒りで我を忘れ暴行。マスコミが騒ぎ、世間が信じる説得力のある人物として選ばれたのだ。最終的にエメリーの無実を証明し、丸く収まる予定だったが、ハンナが殺害されてしまったことで事態は最悪の展開に。

当初の事件発生時、ケアリーはこの映像をテロ対策司令部の元同僚に送り、解析を依頼した。その映像に映っていた被害者のハンナ・ロバーツ、彼女はファイザル・ダマニの弁護人だった。ファイザル・ダマニは以前、修正措置(コレクション)の手により、有罪になってしまった若者だ。その知らせが警視庁のダニー・ハートへ、そしてテロ対策司令部のガーランド警視、そしてCIAのリーダーフランク・ネイピアへと渡る。ここで映像を非開示にした。これがダマニ側の対抗作戦だということ、また修正措置(コレクション)によるものなのか。そして、もしそうだった場合には内部にスパイがいる可能性があると踏んだためである。

第7話 軌道修正

テロ対策司令部及びCIAが映像を非開示にしたことにより、エメリーは釈放された。起訴されないとニュースにはならない。想定外の動きにハンナ達は焦る。そこで、別の証拠を捏造するためにハンナの部屋のネックレスを使うことにする。ここで、ハンナの家を訪ねてきたエメリーとネックレスを取りに忍び込んだグループの男が鉢合わせたのだ。

その後、ネイピアがエメリーを拉致、嘘の映像を使って脅したが、彼は共謀犯ではないと判明した。その間、映像がネットに流れてしまう。ハンナ達はこれ幸いとエメリーの再逮捕に喜ぶ。しかし、事件をもみ消すことができないと判断したネイピア達は、これを事実とすることを決断。

ネイピアは、CIAのチーム内のイーライに目をつけた。イーライは、CIAの一員でありながら裏でグループに協力していた。彼からハンナの居場所を聞き出したネイピアは、彼女の隠れ家を訪れ殺害した。

全てを聞いたケアリーは自分を責めた。自分がテロ対策司令部へ協力を依頼しなければ、ハンナは生きていたかもしれないと。そして、エメリーも事件の全貌を知った。チャーリーは、自分達が加工前の映像を持っているから大丈夫だと強気だ。その時、グループのアジトに警察が突入してきた。その混乱に乗じてエメリーは逃走。一人で逃げ出そうとしたところをケアリーが声をかける。無罪を証明できるというケアリーに、彼はもう誰かを信じるのは疲れたと返す。ケアリーは、まず安全なところへ行こうとエメリーを説得、自宅へと案内した。実際には、継母の家で今は妹だけが住んでいるという。くつろいでいると、あるニュースが目に入ってきた。それは、エメリー自ら娘を誘拐する映像だった。それを見たエメリーは家を飛び出す。

ケアリーは、フリンにバスに乗ったハンナの映像はあるかと聞く。そして、その足でネイピア達がいるガスター通りへと赴くのであった。

第8話 取引

ケアリーは、エメリーの娘がこのガスター通りの家にいると踏んで交渉に行く。娘を人質にエメリーを誘き出す作戦だとネイピア達を問い詰める。そして、ハンナがバスに乗っている映像は、唯一の証拠になり得るとして娘の解放を要求した。しかし、反対にダニー・ハートからチームの一員になるよう説得される。しかし、ケアリーは一歩も引き下がらなかった。

エメリーは、チャーリーが娘を誘拐したと考え、弁護士事務所へ向かった。彼に居場所を吐かせようとしたが、そこにガーランドがやってくる。そして、娘のところに連れて行ってやると言った。だが、チャーリーを殴った手は血塗れだ。アフガニスタンでの記憶が蘇る。

やっと娘と会えたエメリーは、アフガニスタンで夕飯の匂いに誘われたクマの話をした。絵本を読んだり、ボールで遊んだり。しかし、これもまた映像に収められている。他人の目からは娘を誘拐し、子供と遊んでいる心に傷を負った兵士としか映らないだろう。この映像を利用し、エメリーを苦しめ、家族を苦しめることも可能だとネイピアは言う。自白する代わりに家族には自由を。

ケアリーは、地下へと誘われた。そこは、イスラム過激派、白人至上主義など潜在的犯罪者を監視する機関「コレクション」だった。SNSのデータを利用し、3Dモデルを作成。それを捏造に利用するのだ。ネイピア達は、ケアリーに被疑者が出頭してきたと、ある映像を見せる。それは、エメリーが自ら自供をしている映像だった。声までもが合成されていた。少なくともケアリーはそう思った。これもまた捏造された映像だと訴えた。しかしエメリーは、実際にハンナの殺害を自供しに来ていた。ケアリーは、その光景が信じられず、彼らに何をされたのかと憤る。しかしそれは、罪を覆すことの難しさ、そして家族まで巻き込むまいとした彼の苦渋の決断だった。その後、実際の映像が公開されたが、自供した後では証拠にならず、限定責任能力で有罪となってしまう。

エメリーの裁判でガーランドはケアリーにこう言った。修正措置(コレクション)は事実の再現だ。被告人達は虚偽の証拠だということを覆せなかった。嘘を並べ立て否定した。ファイザルの事件も彼が爆薬を集めているという情報を掴んだが証拠がなかった。これは捏造ではなく、実際に起こり得たことを再現したのだと。

刑務所に入ったエメリーをカレンが訪ねてきた。彼女は、ケアリーから無実だと聞かされていた。しかし、彼は真実を話さなかった。カレンは、毎晩うなされるエメリーに何かあったのだと思っていた。彼は、アフガニスタンでのことを話した。本当は命乞いをしていたタリバン兵を撃ったのだと。ハンナの姿がフラッシュバックするのは、そのタリバン兵の記憶と重なっていたからだった。贖罪を背負うことは裁かれなかった罪悪感からなのかもしれない。

そしてケアリーは、継母の家の写真立ての裏にデータを隠し、家の鍵を置いて出て行った。そして、組織の一員になる決心をしたのだった。

ネタバレあり感想

スッキリしない結末。真相は全て明かされたが、正義が遂行されたわけではない。

エメリーは、自白をしたことで刑務所へ。

そしてケアリーは、組織の一員となる。しかし、彼女はこの先、この修正措置(コレクション)を内側から正していくためにこれを決心したのではないかと思いたい。

コレクションも、ハンナ達も自分の私利私欲のため、または正義と銘打って人一人の運命や人生を左右していいものだろうか。物的証拠というものの力や司法制度の限界、偽善で成り立つ法律。理不尽で無責任な行為…少々恐ろしくなりました。

と言いつつ、この作品の登場人物達はあまりにグレーではっきり描かれていない。テロを企てた若者も無罪を主張しているが、本当なのか。唯一はっきりしたのは、エメリーだけだ。彼のアフガニスタンでの出来事「無抵抗な相手に発砲したこと」は事実。作中何度もこの映像とハンナが重なり合いフラッシュバックするため、こちらを騙し不信感を抱く演出、そしてどんでん返しをかましてくる。爽快ながら胸糞悪いぜ。しかしながら、エメリーの罪悪感や悪夢に苛まれながらも家族思いで人間的な一面が描かれていたことで同情の念が湧きます。これで本当に良かったのだろうかと…

最後に

全8話と比較的短く、テンポもいいので飽きる暇はないと思います!失踪事件から殺人事件、陰謀論へと展開がどんどん進んでケアリーと共に振り回されること間違いなしです!

SNSに動画や画像をアップすることも当たり前の時代、デマやフェイクに右往左往しないように、気をつけないといけませんね!

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