この記事には、ネタバレが含まれますので、ご注意ください。
スコア : ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
誰かが最悪な事態になる前に食い止める。どこか昔懐かしい刑事ドラマの雰囲気を持つバディものでした!
作品情報
- 「MIU404」
- 放送日:2020年6月26日〜9月4日
- 脚本:野木亜紀子
- プロデューサー:新井順子
- 演出:塚原あゆ子、竹村謙太郎、加藤尚樹
- キャスト : 綾野剛、星野源、岡田健史、橋本じゅん、麻生久美子、菅田将暉、黒川智花、渡邊圭祐、金井勇太、鈴鹿央士、坂田聡、番家天嵩、小日向文世、生瀬勝久…他
今作のドラマは、2020年6月26日から9月4日の毎週金曜日にTBS系にて放送されていたテレビドラマ。ザテレビジョンドラマアカデミー賞で最優秀作品賞を含む4部門を受賞しました。
主題歌「感電」は、アンナチュラルに引き続き、米津玄師が担当。バディである志摩一未と伊吹藍、この2人の関係性を表しており、ドラマを観ることでこの楽曲の魅力が増し増しになりますよ!
作品の舞台
「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」
通称MIU404(Mobile Investigate Unit)は、働き方改革の一環として増設された機動隊であり、志摩一未と伊吹藍の二人の捜査隊員のことを意味する。地域を巡回し、街の平和を見守る。そして、事件が起きた際には、いち早く現場に急行し、初動捜査に当たる。犠牲を最小限に食い止めるために…
あらすじ(全11話)
1話 衝突
刑事・志摩一未は、過去に捜査一課に所属していた優秀な刑事だが、ある事情により所轄に異動。しかし、第4機動捜査隊の新設に際し、警視庁に呼び戻される。そして、新たな相棒・伊吹藍とコンビを組むことになる。
二人は、街を巡回中に煽り運転に出くわす。騒ぎを収めた後、傷害事件の通報が入ったため現場に急行した二人は、被害者が先ほどの煽り運転をしていた男だと気付く。背後から殴られた被害者、犯人は一体誰なのか。そして、別の場所では一人のおばあちゃんが行方不明に…
2話 切なる願い
前回の事件で車を大破させてしまった二人に当てがわれた車は、なんと「まるごとメロンパン」号。二人は車について言い争いをしながらも、パトロールに出動。
パトロールの最中、隣を走っていた車に違和感を覚える伊吹。すると、警視庁から殺人事件が発生し、容疑者は逃亡中だとの無線が入る。その車の中に、容疑者の特徴と似た人物がいたことを確認した伊吹は志摩を説得し、追跡する。しかし、その車には他にも夫婦が人質として囚われていた…
3話 分岐点
西武蔵野署管内で連続わいせつ事件が起きていた。それを利用し、偽の110番通報が続いていた。若い女性の声で助けを求める電話、警官達が現場に駆けつけてもその電話の女性はおらず、その場から犯人らしき人物が逃げ去るというゲームを繰り返していた。そして、誰一人として追いついた者はいない。
パトロールをしていた志摩と伊吹にも同じイタズラ電話の通報が入る。足の速さに定評のある伊吹は、自信満々に犯人を追いかけるのだが、見事に逃げられてしまう。それもそのはず、犯人達は複数でリレーをしていたのだった…
4話 ミリオンダラー・ガール
暴力団組織による発砲事件が勃発。撃たれた女性・青池は、大きなスーツケースを抱え、薬局へ逃げ込んだ。通報を受けた志摩と伊吹は薬局へ急行、カメラには撃たれた傷の手当てをする青池の姿とその傍には、一億円の入ったスーツケースがあった。
機捜の隊長・桔梗ゆづるは、いつにも増して力が入っていた。実は、桔梗は過去の10億円規模の闇カジノ事件を摘発する際に情報提供者に力を借りた。しかし、黒幕の逮捕には至らず、情報提供者である羽野麦は日々危険に晒されている。この青池透子も過去に同じ闇カジノで逮捕された元ホステスだったのだ…
5話 夢の島
同時多発的に起こるコンビニ強盗、狙われたのは日本人店員が勤務する店舗のみ。志摩と伊吹は、現場周辺のコンビニで店員に扮して張り込みをしていた。すると、実際に強盗に襲われてしまう。そして、周辺の店舗も同時に強盗に襲われるが、控えていた捜査員たちによって一斉に逮捕される。犯人達は外国人で、低賃金で働く元技能実習生だった。
そんな折、志摩と伊吹に仕事を教えてくれたベトナム人のマイちゃんが共犯として浮上する。それはマイちゃんの働いている店舗では、犯人が捕まらなかったことやお金のありかを彼女が知っていたことからそう思われてしまったのだった…
6話 リフレイン
志摩には相棒がいた。捜査一課の元同僚からは、「相棒殺し」という異名を囁かれており、現に相棒の香坂は謎の死を遂げていた。アパートの階段から転落死したと見られる香坂の体内からは大量のアルコールが検出されていた。その当時、志摩と香坂はある事件を調べていた。連続タリウム殺人事件だ。
それを聞いた伊吹は、同じく第4機動捜査隊の九重を強引に引き連れ、今一度その毒殺事件について調べていくことに…
7話 現在地
トランクルームに遺体があると通報を受けた志摩と伊吹は、現場へ向かう。被害者の男性は、座った状態で体の上には猫砂がかけられていた。そして、その表情はどこか穏やかだった。ただの自殺とは思えない二人は、他のトランクルームを利用していたコスプレイヤーのジュリや家出少女達に話を聞く。そんな中、ある違和感を感じた二人は、もう一人トランクルームに不法に滞在している男・倉田を発見する。
一方で、同じく第4機捜の陣場は、息子の婚約者との家族面会に向かう途中で指名手配班を目撃してしまう…
8話 君の笑顔
指を切断された遺体が山中で発見される。その遺体を包んでいた袋には、中国語で「獣」を意味する文字が残されていた。その特徴から20年前と15年前にも起きた連続猟奇殺人事件との関連が疑われた。司法解剖のため不自然死究明研究所、通称「UDIラボ」を訪れる志摩と伊吹。
被害者は、前科持ちの堀内という男だった。捜査資料によると、その事件を担当していたのが伊吹の恩師・蒲郡だったことが判明するのだが…
9話 或る一人の死
桔梗の家に盗聴器が仕掛けられていた。羽野麦の命を狙う人物はただ一人、闇カジノ事件の黒幕・エトリ。彼は、羽野麦に多額の懸賞金をかけ捜索させていた。
盗聴器は、暴力団・辰井組の仕掛けたものと判明、一斉にガサ入れを決行するが、その間に羽野麦が攫われてしまう。志摩と伊吹は、羽野麦を救出することができるのか…
10話 Not found
見知らぬドローンに仕掛けられた爆弾により、エトリは死亡。司法解剖の結果、彼は5年前に起きた殺人事件の容疑者であることが判明する。そして、エトリは誰かの指示で行動していたようだった。
背後にいるのは、「久住」という顔も出生も謎の人物。唯一、面識のある成川を説得し、奴をあぶりだそうと奔走する。隠れ家やドラッグを生成していた工場を突き止めていくが、そんな折、機捜に関するフェイクニュースが出回ってしまう…
11話 ゼロ
複数の爆弾テロ事件が起こり、日本中は大混乱。しかし、そのニュースは久住が流したフェイクであった。しかしその混乱の際、陣馬が容疑者のトラックに轢かれ、重体の怪我を負う。九重は、現場にいなかった自分を悔やんだ。
まんまと久住の策略に踊らされてしまった志摩は、気づけなかった自分を責めた。伊吹は、自暴自棄になり、久住の居場所を突き止め、単身アジトに赴くのだった…
ネタバレなし感想
魅力的なキャラクター
元々バディものが癖に刺さるのですが、今作もドンピシャでした!物語もさることながら、登場人物達のやり取りや成長物語がなにより愛おしい。
引き合いに出すとすると「HAWAII FIVE‒0」やドラマ版「リーサル・ウェポン」感とでも言いましょうか。または、反町隆史さん主演の「ダブルスコア」など、どこか懐かしさのある雰囲気とも言えそうです。凸凹コンビもので相方はツッコミに徹している漫才感。振り回される感じがたまらなく愛おしい。そして共に事件を解決し、時間を共有する中で信頼関係が生まれていく王道のバディもの!
伊吹のように、いつもふざけていて、でも太陽のように笑うやつが大好きです。志摩のどこか吹っ切れてしまったら大胆な決断をするあたりのクレイジーな部分も唯一無二かもしれません笑
エリートの九重世人とベテラン陣馬耕平コンビもまた、最高のコンビネーションを見せてくれています!父と息子のような関係性がとても魅力的で今作の癒しであることは間違いなし!生瀬さん演じる我孫子豆治を「まめじ」ってさりげなく呼んじゃう九ちゃんも笑っちゃいます😂
人生の分かれ道
「たどる道は真っ直ぐじゃない。障害物があったり、それをうまく避けたと思っても横から押されて違う道に入ったりする。」
「人によって障害物の数は違う。正しい道に戻れる人もいれば、取り返しがつかない人もいる。」
エピソードごとに描かれる人々のスイッチ。親の虐待、大切な人の死、居場所を失う10代の若者達、逃れられない過去、外国人労働者の実態や貧困など、社会問題を多く扱っています。環境や関わる人々によって人生は大きく変わっていく。
全体的にコミカルで軽快なテンポで進んでいく本作ですが、要所要所で人間の物悲しさ、哀愁が漂っています。それでも、何度も手を差し伸ばし、救い上げようと奔走する姿には希望を見出す、バランスの取れたエンターテイメントかつ社会派サスペンスとなっています。
個人的には、キャラクターへの興味であったり、推しを拝みたい的モチベーションで楽しんでいた感覚があります。キャラクターにハマるかどうかで面白さが大きく変わると思います。
ネタバレあり感想
個人的に印象に残ったエピソード
ミスリード
2話 切なる願い
逃亡中の殺人犯と人質となった夫婦。加々見の話を聞くうちに、亡くなった息子と加々見を重ね合わせ、徐々に彼を庇うようになっていく夫婦。
この2話で私はグッと作品に興味を持ちました。それは私自身、加々見が犯人ではないのではないか、と徐々に思い始めていたから。騙された!という感覚がとても気持ちいい。
そして、夫婦の息子に対する「ごめんね」と、加々見の父親に対する「謝ってもらっていない」が重なる瞬間の物悲しさ。それでも希望や救いを同時に感じさせてくれた素晴らしい脚本でした。
走る走る走る!
3話 分岐点
連続強制わいせつ事件に乗じて発生しているイタズラ通報。女性の声で助けを呼ぶ通報があり、そして、警察官が駆けつけた側から走り出し、逃げ切ったら勝ちというゲームを行っていた。
犯人グループは、バシリカ高校の元陸上部員でした。先輩達がドーナツEPドラッグを使用していた連帯責任を取らされ廃部になっていました。行き場のない怒りや鬱憤を晴らすようにイタズラを繰り返しています。
未成年者の犯罪やネット上での社会的制裁、近年でもネットでの誹謗中傷などの二次被害や必要以上の制裁を受ける時代。エンターテイメントに加え、しっかりと現代社会の闇を描いているところに、何度もはっとさせられました。
そして、今回の伊吹は走る走る!😂彼の走る姿は、疾走感があり、楽しそうでずっと見てられます!
鬱回
8話 君の笑顔
指が切断された変死体が発見される。遺体の状況から過去に起きた連続猟奇的殺人事件との関連が疑われた。被害者の堀内は、複数の前科があり、その当時の担当刑事は伊吹の恩師・蒲郡慈生だった。話を聞きに行った伊吹達だっが、彼はあまり詳しくは覚えていなかった。ガマさんには認知症の症状もあり、伊吹は一緒に住むことも検討する。
被害者である堀内は過去に蒲郡に世話になった不良少年だった。しかし、彼はガマさんに見放されたと感じ、見せしめに妻を殺害。それを思い出したガマさんは、自らの手で堀内を殺害したのだった。
悲しくもどこか希望を見出せる物語が多かった中で、唯一誰も救われないエピソードでした…いつも明るく振る舞っている伊吹ですが、それは自分に鎧を纏い、壊れないように振る舞っている。それは、演じているというわけではなく、自然とそうさせているというか。このエピソードを見た後では、そんな彼の脆さや危うさを感じました。彼を見ると「スケアクロウ」のライオンを思い出す。胸が締め付けられるエピソードでした…
補足情報
アドリブ・トリビア
第1話
- 伊吹の勝手な行動にゴミ箱を蹴飛ばし怒る志摩さんですが、もちろん台本にはなく、その雰囲気を受けてか、「なんかテンション上がってきた〜!」とアドリブを放つ綾野剛さん。
- 録音機を仕掛けられて「難しいね〜」と呟く伊吹もアドリブらしいですね。ここの伊吹可愛いですよね〜!
第3話
- 高校生達のリレーに完敗した伊吹をからかう時の伊吹のサングラスをかける志摩の仕草、これもアドリブ。
- 負けた伊吹に対して志摩が放つ「負け犬が!」と「それは言っちゃダメだよ!相棒だもん!」と言い返す伊吹もアドリブです。二人のコンビネーション抜群ですね♪
第8話
- ガマさん宅にて、志摩がガマさんへ座布団を渡そうとした仕草も台本にないそう。志摩は、ガマさんを先輩刑事として対応しているから自然とこのようなアドリブになったそうです。俳優さんって本当にキャラクターに息を吹き込んでいるんだなと実感できたエピソードでした!
第9話
- ハムちゃんを救出した際に志摩が伊吹の頭をグッと抱き寄せる仕草は台本になかったため、脚本の野木さんが驚いたと話をしていました。
第11話
- 久住の「いっぱいおっぱい」発言。ちなみに、これを発言した後に菅田将暉さんは、ちらっと監督たちの方を見て、心配そうにみたいに様子を伺っていたそうです😂
撮影が楽しそうで何より微笑ましいです!
まとめ
ということで、長々と書かせていただきましたが、まとめに入りたいと思います。今作は、サスペンスやミステリー要素は薄め。重くなく、でもしっかりと社会に対する問題提起を示しています。王道のバディもので、懐かしさ溢れる刑事ドラマでした!
またアンナチュラルとのコラボもニコニコしちゃいます!アンナチュラルはミステリーという側面が強かったのに対し、MIU404は、コミカルなドラマにサスペンスのエッセンスといった印象です。
どちらも悲しみや切なさの中に一筋の希望を見出せる、そんな優しくも熱いドラマとなっています!
アンナチュラルの感想はこちら⬇️
映画情報
2024年8月23日公開予定「ラストマイル」にMIU404の機捜隊が4年ぶりに帰ってくる!!
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。
下記公式サイトより引用
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