この記事にネタバレは含まれません。
今回は、実際にあった事件を基に制作されたNETFLIXオリジナルのドラマを紹介したいと思います。
アンビリーバブル たった1つの真実
監督 | リサ・チョロデンコ マイケル・ディナー |
脚本 | スザンナ・グラント |
原案 | スザンナ・グラント アイェレット・ウォルドマン マイケル・シェイボン |
キャスト | ケイトリン・デヴァー トニ・コレット メリット・ウェヴァー |
エピソード | 約50分×8話 |
高校を卒業したばかりの少女マリーが、自宅で性被害を受けたと警察に伝える。しかし、証拠が不十分だったことや、彼女のこれまでの生い立ちから、次第に周囲の大人たちは彼女の言葉を疑い始める。そして、警察からも虚偽証言をしたとして、起訴されてしまう…
彼女の叫びは誰にも届かない…
「信じて」と言っても信じてもらえない。それがどれほど孤独で、苦しくて、恐ろしいことか…思春期特有の反抗的な態度や、不安定な家庭環境からくる情緒の波。彼女がどんどん孤立していく姿は観ているのが苦しくなります。
それでも、事件の真相に迫る女性刑事たちが真摯に耳を傾け、時に怒りながら、丁寧に事件を捜査してく様子が痛快で心強い!証拠を一切残さない犯人をどう探し出すのか、二人の刑事の執念と熱意、こういう人が現実にも存在するのだと思うと、少し救われる気持ちになります。
一人の少女を通して描く苦悩と再起、、そしてバディものとしての刑事ドラマという二つのストーリー軸が上手く機能しています。観る価値のある作品ですよ!
評価項目 | 評価 | コメント |
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グロ度 | ★☆☆☆☆ | 直接的な描写は少ないが、心理的にしんどい |
スピード感 | ★★★☆☆ | 丁寧に進行するが、自然と目が離せなくなる |
感情ゆさぶり度 | ★★★★★ | 信じてもらえない苦しみ・辛さ |
社会性・テーマ性 | ★★★★★ | 警察の偏見・制度の欠陥・被害者への扱いなど、非常に強いメッセージ性 |
リアルさ・再現度 | ★★★★★ | セリフや描写も現実に即していてリアリティ高い |
総評 | ★★★★★ | 被害者の声が信じられなかった現実を描く社会派ドラマ。派手さはないが、心に残る力強い作品。 |
僕らを見る目
監督 | エイヴァ・デュヴァーネイ |
脚本 | エイヴァ・デュヴァーネイ ジュリアン・ブリース ロビン・スウィコード |
原案 | エイヴァ・デュヴァーネイ |
キャスト | ジャレル・ジェローム アサンティ・ブラック カリール・ハリス |
エピソード | 約70分×4話 |
セントラルパークで起きた事件の容疑者として、5人の少年たちが突然逮捕される。彼らは全員、10代のアフリカ系・ラテン系の少年たち。証拠もないまま、長時間に及ぶ取り調べによって“自白”を引き出され、有罪判決を受けてしまう…
罪をつくったのは、証拠ではなく偏見
本来なら、公平で正義の味方であるはずの警察。でもこの作品では、警察がむしろ偏見に満ちていて、無理やり取り調べを進めていく姿が描かれています。その過程が本当に怖い…大人たちに囲まれて、言葉をねじ曲げられ、どうしようもない圧力で追い詰められていく少年たちを見て、「おかしいだろ!」と、思わずにはいられません。
だけどこのドラマは、そんな絶望の中でも「自分は無実だ」と信じて生きる姿や、苦しみの中に小さな希望を見つけようとする強さも描いています。最後に訪れる“真実の瞬間”は、意外なほどあっさりしているけど、どこか運命的でもありました。
これは、今も続く「見えない壁」についての問いかけでもあります。奪われた時間、目をそらしたくなるような現実、そんな闇の中にも“光”がある。“人間の本当の強さ”を垣間見ることができる、そんな作品です。
評価項目 | 評価 | コメント |
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グロ度 | ★☆☆☆☆ | 直接的な描写は少ないが、心理的にしんどい |
スピード感 | ★★★☆☆ | じっくり進むが、目が離せない |
感情ゆさぶり度 | ★★★★★ | 理不尽に怒りが収まらない! |
社会性・テーマ性 | ★★★★★ | 冤罪や偏見など今も続く問題を強烈に突きつける |
リアルさ・再現度 | ★★★★★ | 実際の当事者が監修に関わっており、セリフや描写のリアルさが圧巻 |
総評 | ★★★★★ | 冤罪と人種の問題に真正面から向き合った名作。見終わった後、しばらく言葉が出ないほどずしっときます。 |
ザ・ウォッチャー
監督 | パリス・バークレイ |
脚本 | イアン・ブレナン ライリー・スミス |
原作 | ライアン・マーフィー |
キャスト | ナオミ・ワッツ ボビー・カナヴェイル |
エピソード | 約50分×7話 |
新居に引っ越してきたばかりの家族のもとに正体不明の人物から不気味な手紙が届く。送り主は「ウォッチャー」と名乗り、彼らの日常を監視しているような言葉を投げかけてくる。それがきっかけで、家族の生活は少しずつ狂い始めていく…
見られている。でも、誰に…?
少々大げさに脚色されているところもありますが、奇妙な手紙や気味の悪い電話、どんどん壊れていく日常の描写はかなりスリリングです。身近に起こってもおかしくないような怖さがあり、現実味のあるサスペンススリラーとなっています。
家族を脅かす理由も目的もはっきりしないまま、どんどん不安だけが積み重なっていく。近所の人たちの態度や言動もどこか怪しくて、「自分の気のせいなのか、それとも本当に何かあるのか?」と疑心暗鬼になります。
不安になると同時に「誰なんだ…」「この先どうなるんだろう…」って好奇心も強く刺激されるんです。地味な作品ですが、確実に心をざわつかせてくる作品です。
評価項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
グロ度 | ☆☆☆☆☆ | 直接的な描写なし |
スピード感 | ★★★☆☆ | じっくり暗雲を立ち上らせるタイプ |
感情ゆさぶり度 | ★★★☆☆ | 疑心暗鬼、不安、じわじわくる気味の悪さ |
社会性・テーマ性 | ★★★☆☆ | 郊外の監視社会や階級、信頼への疑念 |
リアルさ・再現度 | ★★☆☆☆ | 脚色あり |
総評 | ★★★★☆ | 不気味な家と謎の手紙に脅かされるスリラー。じわじわと高まる不安感とミステリー要素が楽しいが、真相が曖昧なまま終わるので賛否は分かれるかも。 |
ブレイクスルー
監督 | リサ・シーヴェ |
脚本 | オスカル・セーデルルンド |
キャスト | ピーター・エガース マティアス・ノルドクヴェスト |
エピソード | 約40分×4話 |
スウェーデンの小さな町で、少年と女性が襲われる衝撃的な事件が発生する。凶器や犯人の帽子などからDNAが得られたが、明確な証拠も目撃情報も得られず、事件は未解決のまま時が過ぎていく…
16年越しの真実は…
この作品には、派手な演出やテンポの速さはないけれど、静かにじわじわと迫ってくる重さと緊張感が漂っています。ヨーロッパらしい暗くて静かな雰囲気の中、地道で丁寧な捜査がリアルに描かれていて、派手じゃないのに引き込まれます。
また、16年という長い時間、事件に縛られたまま苦しみ続けた家族たち、そして事件を忘れられない刑事の姿。その苦悩や葛藤、執念のすべてが描かれていて、観ているこちらにもその苦しみが伝わってきます。
そして最大の特徴は、事件解決のカギとなる「遺伝子系譜学」。つまりDNAから家系図をたどって容疑者にたどり着くという、かなり画期的な捜査法。刑事の粘り強さと科学の力が重なって、ようやくたどり着く“突破口”には、思わずグッときますよ!

一つの難点は、ジャーナリストにイライラすることです(笑)
評価項目 | 評価 | コメント |
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グロ度 | ★★☆☆☆ | 犯行シーンはあるが、過度な描写なし |
スピード感 | ★★☆☆☆ | じっくり積み重ねるヨーロッパスタイル |
感情ゆさぶり度 | ★★★☆☆ | 刑事の葛藤や執念にグッとくる |
社会性・テーマ性 | ★★★☆☆ | 科学捜査の革新、捜査の限界など問題提起あり |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | 登場人物の心情や流れもとてもリアル |
総評 | ★★★★☆ | 実際の事件をもとに描かれた重厚なクライムドラマ。サスペンスというよりも、じっくり観る社会派クライムドラマを求める人におすすめ。 |
ザ・サーペント
監督 | ハンス・ヘルボッツ |
脚本 | トビー・フィンリー |
キャスト | タハール・ラヒム ジェナ・コールマン |
エピソード | 約58分×8話 |
舞台は1970年代、東南アジア。偽名やパスポートを使い分け、さまざまな人物になりすましながら各地を渡り歩くチャールズ・ソブラジ。洗練された物腰と冷静な頭脳で周囲を魅了する彼には、誰も気づかなかった“もうひとつの顔”があった…
旅人を狙う“毒蛇”
楽しいはずの旅、自分を見つける時間。そんな日々が、知らぬ間に“事件”へと変わってしまう。未来への希望を奪われていく犠牲者たちを見ていると、ソブラジの冷酷さにフラストレーションが溜まっていきます。
そして、この事件を捜査するのは、まさかの外交官なんです!警察でも記者でもない、ただの大使館職員。「何かおかしい」と感じた瞬間から、国も立場も越えて捜査を始めてしまいます。自分なりの正義で動き続ける姿に自然と「頑張れヘルマン!」と応援してしまうこと間違いなしです。
タイやインド、ネパールを舞台に、レトロなおしゃれさとジリジリとした不穏さが同居しています。もし、あなたが旅行好きで70年代のファッションやエキゾチックな雰囲気が好きであれば、楽しめると思いますよ!
評価項目 | 評価 | コメント |
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グロ度 | ★★☆☆☆ | 過度なシーンは控えめ |
スピード感 | ★★★☆☆ | 時系列シャッフルあり |
感情ゆさぶり度 | ★★★☆☆ | 静かに燃える外交官の正義感 |
社会性・テーマ性 | ★★☆☆☆ | 人間の二面性と欺瞞 |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | ロケーションや衣装も時代感抜群! |
総評 | ★★★☆☆ | 70年代アジアを舞台にした実在のシリアルキラーの物語。映像のおしゃれさ、スタイリッシュな犯罪モノが好きな人には刺さる。 |
アスンタ・バステラ事件
監督 | ハコポ・マルティネス |
脚本 | ラモン・カンポス |
キャスト | カンデラ・ペニャ トリスタン・ウヨア ハビエル・グティエレス マリア・レオン カルロス・ブランコ |
エピソード | 約50分×6話 |
12歳の養女アスンタが遺体で発見され、世間は衝撃を受ける。だが、捜査が進むにつれ、愛情深いはずの養父母に疑いの目が向けられ、表向きは完璧だった家族の真実が次第に暴かれていく…
少女の死が暴いた家族の秘密
事件の真相を追っていく中で見えてくるのは、一見すると仲のいい理想の家族に見えた両親の歪んだ関係。誰が本当のことを言っていて、誰がウソをついているのか…そんな疑いと緊張がずっと続きます。
また、養子縁組という立場も加わって、一見愛情のように見える気持ちが、実は支配だったり、信じているようで疑っていたり…。そうした感情が入り混じっている感覚が、事件の真相をより一層複雑にしています。
正直なところ、最後まで“真犯人”が誰なのかははっきりしません。両親の不可解な言動や矛盾は確かにありますが、決定的な動機は見えてこず、真実は曖昧なまま。そのため、観終わったあとに少しモヤモヤした気持ちが残る作品です。
評価項目 | 評価 | コメント |
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グロ度 | ★☆☆☆☆ | 直接的な描写なし |
スピード感 | ★★☆☆☆ | 心理描写や証言シーンにじっくり時間が使われている |
感情ゆさぶり度 | ★★☆☆☆ | 盛り上がりは控えめ。ただし、不穏な空気が漂う |
社会性・テーマ性 | ★★★★☆ | 養子・家族・信頼といった重いテーマを丁寧に描いている |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | 登場人物には一部脚色があるが、事件や裁判の流れは事実に忠実 |
総評 | ★★★☆☆ | 実話をもとにした社会派サスペンスとしては秀逸。 スピード感や感情の盛り上がりは控えめなので、ゆっくりじっくり観たい人向け。 |
地面師たち
監督・脚本 | 大根仁 |
原作 | 新庄耕 |
キャスト | 綾野剛 豊川悦司 北村一輝 小池栄子 ピエール瀧 山本耕史 リリーフランキー |
エピソード | 約50分×7話 |
土地の所有者になりすまし、企業に売却を持ち掛け、多額の金を騙し取る地面師たち。そんな彼らが次に狙いを定めたのは、100億円の市場価値を持つ港区高輪にある光庵寺の駐車場だった。そして、その罠に引っかかったのは、なんと最大手の不動産会社「石洋ハウス」だった…
東京の裏に潜む、“顔のない犯罪者”たち
この作品の魅力は何と言っても騙すか騙されるかの攻防戦。地面師たちのアドリブが冴えわたり、臨機応変に対処していきます。詐欺のプロセスがリアルに描かれていて、一つひとつの“嘘”がどこまで通用するのかハラハラさせられます。
詐欺師たちの巧妙な手口に企業側も黙ってはいません。しっかりと土地の持ち主本人にしか分かり得ない情報や質問を構え、待ち構えています。このお互いのプロフェッショナルのぶつかり合いと心理戦が見どころです。
サイコパスであるハリソン山中と心に闇を抱え堕ちていく拓海。この関係は、「ハンニバルシリーズ」のレクター博士とウィル・グレアムに似ているので、シリーズの雰囲気が好きだった方や関係性萌えを楽しみたい方にもおすすめです。

7話を一日で一気見した作品は初めてです!
評価項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
グロ度 | ★★★★☆ | 一部過激なシーンあり |
スピード感 | ★★★★☆ | チェスや将棋の名人戦を観ているような緊張感 |
感情ゆさぶり度 | ★★★☆☆ | 犠牲者たちの苦い後味が残る |
社会性・テーマ性 | ★★★☆☆ | 都市の闇をリアルに描写 |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | 大げさな部分もあるが、事件の詳細が細部まで再現されている |
総評 | ★★★★★ | 日本の実際の詐欺事件をモデルにした社会派ドラマ。 “嘘のプロ”たちの駆け引きがクセになる。 |
未成年裁判
監督・演出 | ホン・ジョンチャン |
脚本 | キム・ミンソク |
キャスト | キム・ヘス キム・ムヨル イ・ソンミン イ・ジョンウン |
エピソード | 約60分×10話 |
少年犯罪に強い嫌悪感を抱くエリート判事・シム・ウンソク。そんな彼女が新たに配属されたのは、少年事件を専門に扱う地方裁判所の少年部だった。そこでは、様々な未成年犯罪が日々持ち込まれていた…
未成年は、本当に“罪に問えない”のか?
加害者である少年・少女たちの背後にある家庭環境や社会の歪みに向き合いながら、「彼らは本当に“守られるべき存在”なのか?」という、少年法のグレーゾーンに鋭く切り込んでいます。また、被害者やその家族の視点もしっかりと描かれていて、一方的にどちらかに偏らないバランス感覚が非常に秀逸でした。
特に、韓国に根強い学歴社会や階級格差といった背景が、家庭での無関心や過度なプレッシャーに繋がり、それが少年犯罪を引き起こす要因の一つとして描かれている点が印象的です。
一話目から衝撃的な事件が描かれ、一気に作品世界へ引き込まれます。俳優陣も実力派揃いで、重厚なテーマにふさわしい説得力ある演技が光り、社会派ドラマとしても、ヒューマンドラマとしても見ごたえのある一作です!
評価項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
グロ度 | ★★☆☆☆ | 血痕等の描写あり |
スピード感 | ★★★☆☆ | 1話、もしくは2話完結型で観やすい |
感情ゆさぶり度 | ★★★★☆ | 無力感・怒り・悲しみ…いろんな感情が揺さぶられる |
社会性・テーマ性 | ★★★★☆ | 韓国社会の少年法制度をリアルに掘り下げている |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | 裁判官や保護官の立場、制度の限界など、かなりリアルに描かれている |
総評 | ★★★★★ | 少年法の光と影をえぐり出す、社会派法廷ドラマ。やや重めですが、社会派ドラマ好きには刺さる必見の1本です! |
ザ・ナース
監督・脚本 | カスパー・バーフォード |
キャスト | ヨセフィーネ・パーク ファニ・ベルントゥ ピーター・ツァンデルセン |
エピソード | 約50分×4話 |
デンマーク・コペンハーゲン郊外の小さな病院。そこに勤務する看護師ペニレは、ある同僚看護師の不可解な行動に疑問を抱く。患者の急変、投与ミス、異常なまでの死の連鎖。果たしてそれは単なる偶然か…
死をもたらす“死の天使”の正体とは…
命を救うはずの医療の現場で、誰にも気づかれずに“死”を操る人物がいる…そんな事実そのものが、ゾッとします。天使の姿をした悪魔が混ざりこんでる、そんな感覚です。
印象的なのは、病院という閉鎖的で上下関係の強い職場環境が、内部通報をいかに困難にしているかという点。声を上げることで逆に自分の立場が危うくなるという、告発者の孤独とリスクがしっかり表現されています。
派手な作品ではないですが、その分、日常の中に潜む狂気がじわじわと迫ってくる恐怖があります。全4話と短めですが、内容は濃密で一気見必至ですよ!
評価項目 | 評価 | コメント |
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グロ度 | ☆☆☆☆☆ | 死の描写に心理的な恐怖あり |
スピード感 | ★★★☆☆ | 静かな展開だけど、引き込まれる |
感情ゆさぶり度 | ★★★☆☆ | 不信感と気味の悪さが静かに押し寄せる |
社会性・テーマ性 | ★★★★★ | 医療現場の闇、内部告発の難しさなど重厚なテーマ |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | 緊張感ある演出が秀逸 |
総評 | ★★★★☆ | 医療×サスペンス×実録の三拍子が揃った社会派サスペンス。仲間を疑わなければいけない主人公の孤独な闘い。 |
モンスターズ:メネンデス兄弟の物語
製作総指揮 | ライアン・マーフィー |
監督 | カール・フランクリン |
脚本 | イアン・ブレナン |
キャスト | ハビエル・バルデム クロエ・セヴィニー クーパー・コック ニコラス・アレクサンダー・チャベス |
エピソード | 約60分×9話 |
1989年のアメリカ・ビバリーヒルズ。裕福な家庭に育った兄エリックと弟ライル・メネンデスが両親を亡くすという事件が発生する。第一発見者となったのは2人の息子。事件はすぐに全米の注目を集め、悲劇の家族として同情を集めたが、やがて警察の捜査が進む中で、兄弟自身が関与していた可能性が浮上し…
この作品は、“家族”という存在が抱える光と影を描いています。彼らの証言によって明らかになるのは、父親による支配。そして、その行為を知りながら、見て見ぬふりをしていた母親。そんな環境で育った兄弟の痛みと恐怖。
ただし、その主張が出てきたのが事件後であり、しかも両親はもう反論できない。となれば、「兄弟の話は本当か?」という疑問が残るのも当然。正直なところ、兄弟の行動には理解しがたい部分も多く、大人を翻弄しているようにも感じます。
この作品のすごいところは、まさにその「疑問」を視聴者に持たせるように作られていること。メネンデス兄弟は「被害者」なのか、「加害者」なのか…その判断を視聴者に委ねる構成が、本作の最大の特徴です。
評価項目 | 評価 | コメント |
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グロ度 | ★★★★☆ | 第1話にショッキングな襲撃シーンあり |
スピード感 | ★★★☆☆ | 兄弟の証言や裁判による進行 |
感情ゆさぶり度 | ★★★★☆ | 兄弟の涙に翻弄される |
社会性・テーマ性 | ★★★★☆ | 家庭内虐待、権力、メディアの偏見といった多層的テーマ |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | 実際の証言・法廷記録をもとに再現 |
総評 | ★★★★☆ | 完璧に見える家族の裏側にある闇を描く実録ドラマ。犯罪ドラマだが、事件の背景をしっかり描いている作品が好きな方におすすめ。 |
番外編
マインド・ハンター
監督 | デヴィッド・フィンチャー |
脚本 | ジョン・ダグラス ジョー・ペンホール ドミニク・オランド |
キャスト | ジョナサン・グロフ ホルト・マッキャラニー アナ・トーヴ |
エピソード | 約50分×10話 |
1970年代後半。FBIの行動科学課の捜査官であるホールデン・フォードは数々の事件を目の当たりにしてきた。その中で、犯罪者の犯罪に至る心理や生い立ちを理解することで、犯人特定などの捜査に役立つのではないかと考えた。その研究方法とは、実際に凶悪な事件を起こした犯罪者達に会いに行き、インタビューをするというものだった…
恐怖のシリアルキラー図鑑
この作品が他のサスペンスやミステリーと異なるのは、「なぜこの犯罪者はこういう思考を持つのか」を、ショッキングな描写に頼らず、会話や心理分析を通じて見せていく構成になっている所です。
犯罪者の生活や幼少期の家庭環境、育ち、そして社会とのズレが丁寧に描かれていて、彼らと向き合う捜査官たちも、次第にその闇に引き込まれていくような危うさと緊張感を常に感じさせます。
クリミナル・マインドやハンニバルなどのプロファイリングを用いた捜査方法が好きな方、ゾディアックや羊たちの沈黙のような背筋が凍る恐ろしい登場人物が出てくる作品が観たいという方に特におすすめです。
評価項目 | 評価 | コメント |
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グロ度 | ★★☆☆☆ | 直接の描写はないが、写真や会話による心理的恐怖が強い |
スピード感 | ★★★☆☆ | 静かな物語の進みが話の重みを増している。 |
感情ゆさぶり度 | ★★★★☆ | 尋問場面が衝撃的。 |
社会性・テーマ性 | ★★★★☆ | 犯罪心理、法制度、メディア・時代背景、捜査技術などが複合。 |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | 調査・面談シーンの説得力が高い。ただし脚色もある。 |
総評 | ★★★★★ | プロファイリングの原点を描いた心理サスペンス。“観た後に余韻が残る”見応えのある作品。 |
マンハント
監督 | グレッグ・ヤイタンズ |
脚本 | アンドリュー・ソドロスキー ジム・クレメンテ トニー・ギッテルソン |
キャスト | ポール・ベタニー サム・ワーシントン |
エピソード | 約60分×8話 |
1978年から約20年もの間、航空会社や大学に爆弾を送りつけ、20人以上の死傷者を出した“ユナ・ボマー事件”。犯人は非常に知能が高く、証拠を一切残さないため、FBIも長年手がかりをつかめずにいた。そんな中、アカデミーを卒業したばかりの新人プロファイラー、ジム・フィッツジェラルドがやって来る…
思想と狂気の狭間
手紙・マニフェストで主張をしてくる犯人をただの“狂人の叫び”として片付けず、言語分析という新しい視点から犯人像を導き出していきます。なぜ彼がそのような思想に至ったか、人との隔たり、テクノロジーへの不信、文明批判などの思想や理論から人物像を突き詰めていく過程が面白い。
じっくり手がかりを探していくプロセスが長めに描かれているので、展開は比較的スローペース。派手なアクションや銃撃戦よりも、文字や証言、手紙から読み解くリアルな捜査に重きを置いていますが、中だるみを感じるところはありません!
彼の思想や信念は、極端で危険ではあるのですが、完全に否定しきれない複雑さをはらんでいます。AIやテクノロジーが当たり前になった今の時代だからこそ、この作品が問いかけるテーマに、自分自身の生き方や価値観を重ねて考えてみる価値があるのかもしれません。
評価項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
グロ度 | ★★☆☆☆ | 被害や死傷は描かれるが、過激な描写なし |
スピード感 | ★★★☆☆ | 捜査の手がかりが少ないため、探る時間が長い |
感情ゆさぶり度 | ★★★☆☆ | 犯罪者の思想や捜査に重きを置いているので、被害者の描写は控えめ |
社会性・テーマ性 | ★★★★★ | 技術や文明、監視、個人の自由、社会批判、メディアとの関係性など、思想性の高いテーマが多い |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | ドラマとしての脚色はあるが、実際の捜査に基づいている |
総評 | ★★★★★ | “言葉”を手がかりに心を読む知的サスペンススリラー。知的なスリルが最後まで続く作品。 |
👇「マインド・ハンター」と「マンハント~連続爆弾魔ユナ・ボマー」はこちらの記事でも紹介しています。
捜査官VSシリアルキラーおすすめ海外ドラマ6選! | 気まぐれシネマ英語帖
ダーマー
監督 | パリス・バークレイ カール・フランクリン |
脚本 | ジャネット・モック ライリー・スミス |
キャスト | エヴァン・ピーターズ リチャード・ジェンキンス ニーシー・ナッシュ モリー・リングウォルド |
エピソード | 約50分×10話 |
1991年、ジェフリーはナイトクラブで出会った若い男性を自宅に招き入れた。しかしその後、状況は不穏な方向へと進み、彼の行動に恐怖を感じた男性は、隙を見て外へ逃れ、警察に助けを求める。通報を受けてジェフリーの部屋に踏み込んだ警察は、そこで予想もしなかった異様な光景に直面する…
狂気の隣にあった見過ごされた日常
この作品は、一人の男を単なる「悪」として描くのではなく、どうして彼がそうなってしまったのか、その背景を丁寧に描いています。家庭環境や孤独といった要素が、彼の中の欲望を少しずつ歪めていく様子は、静かだけど不気味で重苦しい空気が全体に漂っています。
また、警察の無関心、人種や貧困、マイノリティへの偏見など、社会が見て見ぬふりをしていた背景に切り込んでいます。もし捜査がもっと早く行われていれば、これほど多くの犠牲者が出ることはなかったという事実を突きつけています。
主演のエヴァン・ピーターズの鬼気迫る演技は素晴らしいですが、重く残酷なテーマで気軽に楽しむタイプのドラマではないです。人によっては気持ち悪くなる可能性もあるので、覚悟して観てくださいね…
評価項目 | 評価 | コメント |
---|---|---|
グロ度 | ★★★★★ | かなり強めで、人によっては気持ち悪くなるかも… |
スピード感 | ★★★☆☆ | 時系列を交錯させながら、じわじわ進むタイプ |
感情ゆさぶり度 | ★★★☆☆ | 被害者とその家族の悲しみ、犯罪者の内面の描写 |
社会性・テーマ性 | ★★★★★ | 警察の怠慢、マイノリティなどの根深いテーマ |
リアルさ・再現度 | ★★★★☆ | 若干の脚色あり |
総評 | ★★★★☆ | 実在のシリアルキラーを描いた衝撃作。グロ要素も強めなので、心して観るべし。 |
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主人公がサイコパス!?狂気と恐怖のおすすめ海外ドラマ8選 | 気まぐれシネマ英語帖
まとめ
今回は、”事実は小説より奇なり”を体感できる実話に基づくNetflixオリジナルドラマたちを紹介しました!
現実に起きた出来事だからこそ、心苦しい内容でも知ることに意味があり、心に刺さるメッセージがある。
しかも、今回紹介したNetflixの実話ベースドラマは、どの作品も”ただのエンタメ”では終わらない、社会への問題提起や人間の深層心理をえぐるような作品ばかりです。
刺激的で、考えさせられ、時に胸が締めつけられるようなこの10作品。ぜひ、心の準備をしてご覧ください。
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