ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
世界中の休日が集まる街ホリデー・ワールド。その中の一つ「ハロウィン・タウン」には、人間を驚かすことに喜びを見出す住人達が暮らしていた。時はハロウィン当日、住人たちは年に一度のお祭りの準備に大忙し。そして、今年も無事にハロウィンの大仕事を終えたこの町の王ジャック・スケリントンは、代わり映えのしないこのイベントに嫌気が差していた。一人、そんなことを思いながら森の中を歩いていると、扉のついた不思議な木を見つける。恐る恐るその扉を開けると、そこにはキラキラと輝く“クリスマス”の世界があった…
監督 | ヘンリー・セリック |
脚本 | キャロライン・トンプソン、マイケル・マクダウェル |
原案 | ティム・バートン |
プロデューサー | ティム・バートン、デニース・ディ・ノビ |
撮影 | ピート・コザチク |
美術 | ディーン・テイラー |
編集 | スタン・ウェブ |
音楽 | ダニー・エルフマン |
キャスト | 『オリジナル』 クリス・サランドン、ダニー・エルフマン(歌)、キャサリン・オハラ、ウィリアム・ヒッキー、グレン・シャディックス、ポール・ルーベンス、ケン・ペイジ、エド・アイボリー…他 『日本語吹き替え』 市村正親、土居裕子、三ツ矢雄二、大平透、園岡新太郎、松沢重雄、小林アトム、永江智明…他 |
配信 | Disney+ |
ティム・バートン監督の代表作と呼ばれることが多いが、監督を務めたのはヘンリー・エリック。ティム・バートンは原案と制作に携わっている。人形たちを少しずつ動かし、撮影していくパラパラ絵本のような原始的な手法を映像技術でアニメーションとして落とし込んでいます。完全な人形劇でもなく、アニメーションでもない奇妙な映像体験がこの作品の魅力です。
不気味で歪、でもキャラクターたちは意外にも可愛く愛らしい。ハロウィン・タウンの王ジャック・スケリントンは、見た目は怖いが純粋で子供のような一面もあります。新しいものに出会い、ときめき、心を昂らせる。失敗を恐れず挑戦し、そして学ぶ。子供の頃に観ると怖さが目立つかもしれないけれど、純真でひたむきに行動するジャックに愛着が湧きます。
「シザーハンズ」や「バットマンシリーズ」などティム・バートンと多くの作品を手掛けているダニー・エルフマン。その他にも数えきれないほどの映画音楽を担当しています。奇抜でいてクラシカル、ダイナミックなオーケストラにホラーテイストな曲調、癖になるミュージカルシーンばかり!
ちなみに、私が初めてジャック・スケリントンを知ったのは「キングダム・ハーツ」というゲームでした!
ロッキー・ホラー・ショー
恩師であるスコット博士に結婚の報告をしようと、嵐の中、車を走らせていたブラッドとジャネットだったが、道に迷った挙句、車のタイヤがパンクしてしまう。電話を借りるため不気味に佇む古い城へと足を運ぶが、そこには奇抜な衣装に身を包む客人たちがいた。この城のオーナーであるフランクン・フルタ―博士が作った人造人間のお披露目パーティが開かれるのだと客人たちは大騒ぎしていたのだった…
監督 | ジム・シャーマン |
脚本 | ジム・シャーマン、リチャード・オブライエン |
製作総指揮 | ルー・アドラー |
プロデューサー | マイケル・ホワイト |
撮影 | ピーター・シュシツキ― |
音楽 | リチャード・ハートリー |
編集 | グレイム・クリフォード |
キャスト | ティム・カリー、リチャード・オブライエン、スーザン・サランドン、バリー・ボストウィック、ミートローフ、パトリシア・クイン、ネル・キャンベル、ピーター・ヒンウッド、ジョナサン・アダムス、チャールズ・グレイ…他 |
配信 | Disney+ |
リチャード・オブライエン原作の同名舞台を映画化したもので、カルト的な人気を誇る変態(笑)ホラー・ミュージカルコメディです。マッドサイエンティストの怪しいパーティに迷い込んでしまった二人の男女の奇想天外な体験を描いています。エロティシズム満載でギラギラしていて、観てるこっちが食べられちゃいそう…自由なセクシャリティや多様性、そして快楽の開放、禁断の世界に迷い込んでみてください。
俳優としては、マーヴィン・リー・アディという名で活動していたアーティストのミートローフが歌う“Hot Patootie”が個人的にはお気に入り。リチャード・ハートリーが作る楽曲は、どれもストレートに覚えやすいのにユニークな楽曲ばかりです。型にとらわれない生き方、自由で刺激的な表現、まさにロックンロール!
ジャンルにホラーも含まれますが、怖くはありませんので、安心してご鑑賞ください。難しいことは考えず、エロくてクレイジーで、インパクト抜群の映像体験と思ってください。ただ、家族の前で観るには少々過激で気まずくなるかも…
アナと世界の終わり
舞台は、イギリスの田舎町リトル・ヘブン。幼い頃に母を亡くし、父と暮らしているアナは、この代わり映えのない退屈な日々にうんざりしていた。そんな彼女は、大学には行かず、世界を旅することを夢見ていた。その計画が父親にバレてしまい、喧嘩になってしまう。次の日、父・トニーと仲直りすることなく、同級生のジョンと学校へ向かう途中で血だらけの男に襲われたアナは、咄嗟に武器を取り、男を撃退する。そしてこの小さな街は、突如としてゾンビアポカリプスへと変貌してしまうのであった…
監督 | ジョン・マクフェール、 |
脚本 | アラン・マクドナルド、ライアン・マクヘンリー |
製作総指揮 | トッド・ブラウン、ジェームズ・ノーリー、マーク・トーマス、トレイシー・ブリム、スティーブン・ジャーヴァイス、 |
プロデューサー | ネイサン・アレイ=カル―、ニコラス・クラム、トレイシー・ジャービス |
撮影 | サラ・ディーン |
衣装 | フィオナ・モリソン |
音楽 | ロディ・ハート、トミー・ライリー |
編集 | マーク・エルミーダ |
キャスト | エラ・ハント、マルコム・カミング、サラ・スワイヤー、ベン・ウィッジンズ、クリストファー・レボー、マーリ・シウ、エラ・ジャービス、ポール・ケイ、マーク・ベントン…他 |
配信 | U-NEXT |
世にも珍しい青春×ゾンビ×ミュージカル。軽い気持ちで観られる楽しいポップコーンムービーかと思いきや、意外にも物語はシビアで現実的。作中に登場する歌詞“映画のようなエンディングなんてない”に現実はこんなものだという皮肉を感じます。初期のまだ磨ききっていないハイスクール・ミュージカル感、そして曲が独立しているためミュージックビデオのようでもあります。
いつも優しくアナを元気づけ気遣ってくれる幼馴染のジョンは、密かにアナに想いを寄せているが、当の本人はニックというちょい悪な彼氏がいて、ジョンは眼中にない。学生生活のほろ苦い思い出、現状に対する不満や未来への不安など若者の心情を歌に載せて彩られる学園ものとして観ても良し!
マネキンやスイカ、クリスマスのキャンディケインなどでゾンビに立ち向かうコミカルで新しい発想は観ていて楽しい。映画全体にクリスマス感がふんだんにあるので、クリスマスに合わせて観るのもいいかも…?
リトル・ショップ・オブ・ホラーズ
心優しいがおっちょこちょいで冴えない青年シーモアは、働いている花屋の店長マシュニクに日々こき使われていた。ある皆既日食の日、不思議な花の苗を見つけたシーモアは、密かに想いを寄せるオードリーの名前にちなみ、オードリーⅡと呼び、店の地下で育てていた。水をあげても、太陽を浴びせてもなかなか育たないオードリーⅡにお手上げのシーモア。それもそのはず、この植物は人間を主食にする人食い花だったのだ…
監督 | フランク・オズ |
脚本 | ハワード・アシュマン |
プロデューサー | デビッド・ゲフィン、ウィリアム・S・ギルモア |
撮影 | ロバート・ペインター |
美術 | ロイ・ウォーカー |
音楽 | マイルズ・グッドマン |
編集 | ジョン・ジンプソン |
キャスト | リック・モラニス、エレン・グリーン、スティーヴ・マーティン、ヴィンセント・ガーディニア、リーヴァイ・スタッブス、ジェームズ・ベル―シ、ジョン・キャンディ、ビル・マーレイ、ミシェル・ウィークス、ティチナ・アーノルド、ティーシャ・キャンベル…他 |
配信 | U-NEXT |
本作は、1982年に公演されていたオフブロードウェイミュージカルをフランク・オズ監督が映画化しました。楽曲は、ディズニーの名曲たちを生み出したアラン・メンケン、そして作詞を務めたハワード・アッシュマンの最強コンビ。一度聴けば口ずさんでしまうキャッチーな音楽、何度も見たくなる中毒性のある“THEミュージカル”な世界観です。
80年代の映画を親しんでいた方ならお馴染みのコメディ俳優リック・モラレス、歌い始めるとそのパワフルな歌声で圧倒するエレン・グリーン。その中でも異彩を放つコメディ界の重鎮スティーヴ・マーティンが演じるドSな変態歯科医のとんでもないお仕事シーンは大爆笑必至!また、物語の語り部となり歌って踊る3人組の存在も最高だ。そう、とにかく登場する人物のキャラがとにかく濃い。
話す人食い花という一見怖そうな題材ですが、子供が観ても楽しめるホラーになっています。古い映画ですが、ストーリー・キャラクター・演出・楽曲全てにおいてクオリティは想像以上!騙されたと思って観てほしい。
リトル・ショップ・オブ・ホラーズは、私が中学生の時に出会ったミュージカル。この出会いが私をミュージカル好きに変えてくれました!記念すべき初めてのミュージカルにして思い出の作品です♪
ダンサー・イン・ザ・ダーク
シングルマザーのセルマは、12歳の息子ジーンとアメリカの田舎町で暮らしている。チェコからの移民の二人は、貧しく家賃を払うお金もないため、親切な隣人ビルのトレーラーハウスを借りて生活していた。セルマは、先天性の病気により視力を少しずつ失いつつあり、それは息子のジーンにも遺伝していた。息子の手術代を稼ぐために昼は工場で働き、夜は内職をして貯金をしていたが、それをある日、ビルに打ち明けてしまう…
監督・脚本 | ラース・フォン・トリアー |
制作総指揮 | ペーター・オールベック・ヤンセン |
プロデューサー | ヴィベク・ウィンドレフ |
撮影 | ロビー・ミューラー |
音楽 | ビョーク |
編集 | フランソワ・ジェディジエ、モリー・マレーネ・ステンスガート |
キャスト | ビョーク、カトリーヌ・ドヌーブ、デヴィッド・モース、ピーター・ストーメア、ジャン=マルク・バール、ヴラディカ・コスティック、カーラ・セイモア、ジョエル・グレイ、ヴィンセント・パターソン、ジェリコ・イヴァネク、シオバン・ファロン、ウド・キア、ステラン・スカルスガルド…他 |
配信 | U-NEXT(プレミアム) |
アイスランドの歌手ビョークを主演に描くミュージカル・クライム。監督は、「ニンフォマニアック」や「ハウス・ジャック・ビルド」などの衝撃作を製作したラース・フォン・トリアー。胸糞悪い映画を撮らせれば右に出るものなし!慎ましく生きてきた親子にとんでもない悲劇が訪れるという胸糞映画の代表作。
ホラーではなく、クライムヒューマンドラマです。しかし、今回紹介する作品の中で一番後味が悪く、ある意味一番ホラーかもしれません。主人公の精神世界がミュージカルのように描かれ、過酷な現実から目を背けるように幸せで優しい世界が表現されていますが、それが逆に不気味で怖い。その独特で流れるような曲調やビョーク氏のユニークで少し掠れた可愛らしい歌声が独創的で唯一無二な魅力があります。
不幸が不幸を呼ぶ不条理。救いのない物語ではあるが、セルマの貫き通した信念や何がなんでも息子を助けるという意地など、物語は一貫して母の強い愛。これが本当に正しい選択だったのかわからないけれど、少なくとも、エルマは自身の一番の望みを叶えたと思いたい。そう思わないと、やってられません…(´;ω;`)ウゥゥ
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
舞台は、19世紀のロンドン。ベンジャミン・バーカーは、美しい妻と娘に恵まれ幸せな日々を送っていた。しかし、彼の妻に惚れ込んだ悪魔ターピン判事に無実の罪で投獄、流刑にされ、妻と娘を奪われてしまう。15年後、ベンジャミンはスウィーニー・トッドと名を変え、街に戻ってきたが、妻は自ら命を絶っていたことを知る。そして、娘のジョアナは、ターピン判事の屋敷で幽閉されていたのだった…
監督 | ティム・バートン |
脚本 | ジョン・ローガン |
製作総指揮 | パトリック・マコーミック |
プロデューサー | リチャード・D・ザナック、ウォルター・パークス、ローリー・マクドナルド、ジョン・ローガン |
音楽 | スティーブン・ソンドハイム |
撮影 | ダリウス・ウォルスキー |
美術 | ダンテ・フェレッティ |
衣装 | コリーン・アトウッド |
編集 | クリス・レベンゾン |
キャスト | ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ジェレミー・キャンベル、ジェイン・ワイズナー、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン、エド・サンダース、ローラ・ミシェル・ケリー…他 |
配信 | U-NEXT |
奇才ティム・バートンとジョニー・デップがタッグを組んだホラーミュージカル。霧の都ロンドンが舞台ということもあり、薄暗くどんよりとした街、登場する人物たちの顔色も青白くこの作品のダークな雰囲気を際立たせている。これは、そんな闇深い街で繰り広げられるベンジャミン・バーカーという一人の男の復讐の物語。
復讐だけでは飽き足らず、パイ屋の夫人と共謀し、人肉パイを客にふるまう。グロテスクでカニバリズムもあるため、なんとも恐ろしいが、その反面この作品には美しさがある。すべては愛のため。誰かを守るためなのだ。そう、登場人物たちの行動原理が“愛”だからこそ、美しい物語でもあります。
「ウエスト・サイド・ストーリー」のスティーヴン・ソンドハイムが書き下ろした楽曲たちは、耳に優しく心地良い。ジョニー・デップは、復讐という内なる怒りと快楽の炎を秘めた力強い歌声を披露している。また、アラン・リックマン氏の歌声は低音ボイスでとてもセクシーです。そんな中でアンソニー演じるジェイミー・キンベルの甘いマスクと歌声が“愛”をささやくのだ…惚れ惚れしてしまう。全編に静かな狂気を秘めた美しいハーモニーが奏でられています!
15歳の時にこの作品を映画館の大画面で観た私は、怖さのあまり、血やグロ表現が一時期トラウマになりました(笑)
番外編
チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット
ネイティブアメリカンの土地であった墓地を潰し、新たにフライドチキン屋「アメリカン・チキン爆弾」が建設された。その土地には、先住民たちの魂が眠っており、居場所をなくしたその魂たちは、そのフライドチキンを食べた客たちを呪い始める。人々は、ゾンビやモンスターと化し、大暴れ!そんな中、神聖な土地を穢すことに反対するデモ隊に参加するレズビアンにガールフレンドのウェンディを寝取られたアービーは、当てつけでチキン屋で働き始めるのだが…
監督 | ロイド・カウフマン |
脚本 | ロイド・カウフマン、ガブリエル・フリードマン、ダン・ボバ |
製作総指揮 | パトリシア・スウィニー・カウフマン、ロイド・カウフマン、マイケル・ハーツ |
プロデューサー | アンディ・ディーマー、キール・ウォーカー |
撮影 | ブレンダン・C・フリント |
音楽 | ドゥギー・バナス |
特殊メイク | ゾチテル・ゴメス、クリス・ボウエン |
編集 | ガブリエル・フリードマン |
キャスト | ジェイソン・ヤチャニン、ケイト・グラハム、アリソン・セレボフ、ロビン・L・ワトキンス、ジョシュア・オルタンデ、カレブ・エマーソン、ローズ・ガバミ、カリッド・リベラ、ジョー・フライシェイカー、ロイド・カウフマン、ロン・ジェレミー、フェイス・シーハン・ギャリバン…他 |
配信 | U-NEXT |
「悪魔の毒々シリーズ」などの低予算映画を多く手掛けるロイド・カウフマン監督が描く風刺の効いたゾンビ・ミュージカル。グロ!エロ!ゲロ!クソ!お下劣!最低・最悪、過激な描写のオンパレードです。番外編とさせていただいたのは、この作品はおすすめはできないけど、紹介はしておきたいという私のわがままです!笑
あまりに酷い内容ですが、唯一楽曲は意外と良い。その才能を別に使ってくれと思わざるを得ません。ポップミュージックだったり、カントリーだったりと聴き心地の良いサウンドが多いので、恐ろしい映像の中でミュージカルシーンが始まると安心できます。大げさな演技やふざけたシーンが多いですが、そこが笑えたりもします。
観るに堪えない描写も多く、正直ミュージカルでなければ観ていなかったですが、こういう機会がなければ出会わなかった作品。最後まで観られたのもミュージカルだったからこそ!でも、観る際は覚悟してくださいね。
まとめ
今回は、ホラー・ミュージカルというテーマで書かせていただきました。
ミュージカルは、明るく楽しいイメージが強いですが、ホラーというジャンルがあるのも魅力のひとつ。ホラーにしては、怖いものは比較的少なく、子供でも鑑賞できる作品もあるというのが今回集めてみた印象です。
「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」や「ナイトメア―・ビフォア・クリスマス」は、子供でも楽しめるので家族で一緒に鑑賞することもできますし、「アナと世界の終わり」は、友達とヤイヤイ言いながら観るも良し!
「スウィーニー・トッド」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は、ダークで少々ヘビーなので、誰かを道連れに観るも良し。
「ロッキー・ホラー・ショー」や「チキン・オブ・ザ・デッド」なんかは、ひとりお家でひっそりと観ることをおすすめします(笑)
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!この記事がみなさんのチョイスのお助けができていれば幸いです。