映画『グランツーリスモ』感想 ネタバレあり

映画

ゲーマーが本物のレーサーになる!?いや、厳密にはゲームではなく、カーレース・シミュレーションなのだ。

映画情報

  • 『グランツーリスモ』
  • 公開日 : 2023年9月15日(日本)
  • 制作総指揮 : ジェイソン・ホール、山内一典
  • 監督 : ニール・ブロムカンプ
  • 制作 : ニール・ブロムカンプ、アサド・キジルバシュ
  • 脚本 : ジェイソン・ホール、ザック・ベイリン
  • 撮影 : ジャック・ジューフレ
  • 編集 : オースティン・デインズ、コルビー・パーカー・Jr
  • 音楽 : ローン・バルフ、アンドリュー・カフチンスキ
  • 出演者 : アーチー・マデクウィ、デヴィッド・ハーバー、オーランド・ブルーム、ジェリ・ハリウェル、ジャイモン・フンスー、ダレン・バーネット、エメリア・ハートフォード他

公式サイト

https://www.gt-movie.jp/

『グランツーリスモ』は、ソニー・インタラクティブエンタテイメントから発売された日本発のドライビングシミュレーションゲームである。1997年の1作目から最新作の7作目まで25年にもわたる長寿のゲームシリーズです。

あらすじ

グランツーリスモのプレイヤー”ヤン”は本物のレーサーになることを夢見る青年。しかし、父親からは、現実を見るように叱咤される日々を送っていた。そんなヤンに、チャンスが訪れる。ある時、マーケティング責任者ダニー・ムーアは、日産のモータースポーツ部にある企画を持ち込む。それは、グランツーリスモの選りすぐりの熟練プレイヤーを選出し、本物のレーシングドライバーに育て上げるというものだった。

ネタバレなし感想

私は、グランツーリスモというゲームをプレイしたこともなければ、カーレースの知識もない

そんな私でも、この作品を観終わった後は、ゲームをしたくなる程、車を飛ばしたくなる程に胸が高鳴り、興奮を抑えられませんでした!!

畳み掛けてくる疾走感に踊り、胸熱な恩師との信頼関係に泣く

ゲームの映画化ではなく、ゲームに纏わる実話を元に描いた伝記映画となっています。そのため、しっかりとした人間ドラマが繰り広げられるのが、この作品の特徴。それでいて、ど迫力のカーレースも堪能できる素晴らしい作品でした。

ネタバレあり感想

ここからは、ネタバレを含みますので、ご注意ください。

リアルなレース描写

カーレースシーンが、とにかく圧巻の手に汗握る迫力。

それもそのはず。俳優たちをレースカーに乗せ、実際のスピード”時速320キロ”で走らせている。また、ヤン本人にもスタントを依頼し、極限までリアルなレース体験を再現しているのだ。だからこそ、臨場感やスリル、没入感が凄い。

コックピットを外側から撮ることで、車の破片や舞い上がる土埃を。内側から撮ることで、コックピットの中の操作音や演者のリアルな表情を捉えている。また、FPVドローンを搭載した撮影車を同じスピードで走らせて疾走感を演出している。車好きにたまらない作品なのは間違いない

死と隣り合わせ

“ゲームでコースアウトしても、リセットしてやり直せばいい。実際のレースでは、死を意味する”

映画の冒頭、主人公が弟達と父親の車を持ち出し、警察を振り切って逃げるシーンがある。そこは、ただ楽しいカーチェイスシーンだ。なのに、レースになった途端、ものすごい緊迫感。何が怖いって、車がコントロールを失い、何も手が打てなくなった瞬間が恐ろしく怖い。

ニュルブルクリンクのサーキットでヤンの車がクラッシュするのだが、その瞬間は衝撃的でした。というか、ものすごく怖かった。人々の動きがスローモーションになり、静寂に包まれる演出は絶望感があり、凄まじい。このシーンは、心臓が握り潰されるほど痛々しかったです。

カーレースに危険はつきもの。不慮の事故だったとしても、自分がハンドルを握っていたという事実は残る。背負うには重すぎて苦しくなりました。

意地と誇り

“ゲームで1000回以上プレイした”

ゲームのプレイヤーが実際のレースで通用するわけがない。そう思うのが普通です。

それでも、男達は突き進む。選りすぐりのプレイヤー達が集まり、共に体や精神力を鍛え、競い合う。

そして、実際のレースに参加するのだが、強化合宿の時とは世界が違う。周りからヌーブ(初心者)と呼ばれ相手にされていない。初めてのレースが惨敗なのがまた良い。しかし、徐々に順位を上げ、困難を乗り越え、表彰台に登るのだ。最後のル・マンでのレースには、小競り合っていたライバル達が、ピンチヒッターとしてバトンを繋ぐ役目を担うのも憎い!!熱い!!ゲーマーはみな負けず嫌いなのだ。ふんぬっ😤

競争相手はいるが一番の敵は自分。恐れるな、躊躇するな、覚悟を決めろ。これは、自分との戦いなのだ。

見守る人々

この作品で、存在感を放っていたのは間違いなく鬼教官ジャック・ソルターを演じたデヴィッド・ハーバーだろう。ゲームのプレイヤー達を前にお前達には無理だと告げるジャック。彼がヤンに運命を感じ、叱咤激励を浴びせていく過程が気持ちよくて仕方がない。信じているのだ、彼の可能性を。自らの可能性に蓋をしてしまったジャックにとって、ヤンは唯一自分の夢を託せる存在になったのだろう。ヤンが彼にミュージックプレイヤーをプレゼントするシーンや、彼が試合前に聴いているミュージックを、ヘッドセットから流し、奮い立たせるシーンもお気に入りです。

オーランド・ブルーム演じるダニー・ムーアには、GTアカデミーを成功させるという熱意を感じます。ジャックとは正反対の性格で、どこか胡散臭さもある彼。マーケティング戦略を考え、成功に導こうとする姿はまさに立役者だ。

ちなみにこのジャック・ソルターとダニー・ムーアは架空の人物。しかし、モデルはいます。ジャック・ソルターに関して断定するのは難しいが、リカルド・ディビラ。それから、ギャビン・ゴフやボブ・ネビルの名前が上がっていた。ジャック・ソルターという人物は、コーチやエンジニア、マネージャーを融合したキャラクターであると言われています。ダニー・ムーアのモデルは、欧州日産のダレン・コックス。彼の”グランツーリスモのプレイヤーは実際のレースができるのか“という小さな疑問から、ここまで企画が大きくなるとは予想していなかったかもしれませんね。

次に父親との確執。ヤンにとって父親は元フットボールプレイヤーで、憧れの存在です。父親のチームのシールをお守りとして、ヘルメットに貼っているのが泣けます。

また、ガールフレンドとの青春も愛らしく描かれていました。日産との契約のため、日本へ訪れるヤン達。日本の描写に不安を覚えるが、意外にもちゃんと(想像以上に)日本でした笑

最後に

久しぶりに映画館で手に汗握る体験ができました。鑑賞後、映画館から出てきた私達はお互いの顔を見合わせて大笑いしました。それもそのはず。私の友人は汗びっしょりで、シャツがヨレヨレ。開口一番、「映画館ってこんなに暑かったっけ?」と。友人は、グランツーリスモのゲームが大好きで、この映画を楽しみにしていました。友人も存分に楽しんだのだと嬉しくなりました。

私はその後、吹き替えでもう一度映画館で鑑賞してきました。何度観ても胸熱のストーリーと迫力の映像体験。これはぜひ、映画館で味わってほしい!!

タイトルとURLをコピーしました