この記事にネタバレは含まれません。
みなさんは、逃避行にロマンを感じる派ですか??というわけで今回は、どこかノスタルジックで、どこか切なさの残るロードムービーを8作品集めてみました。
どの作品も共に過ごすその瞬間がとてつもなく尊いもので、嫉妬さえ感じてしまいます。こんな人が一人でもそばにいてくれれば、人生は最高に尊いものになるのではないか。そんな感情が湧いてくる作品たちです。
ちなみに今回は、二人だけの絆にフォーカスしてみました。それでは、見ていきましょう!
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
“天国ではみんな海の話をするんだぜ”
マーチンは、脳腫瘍を患っており数日の命。彼の同室のルディも骨腫瘍を患っており、余命わずかと宣告されていた。病室に隠されていた酒を飲み交わし、天国について語り始めるマーチン。そして、海を見たことがないと言うルディのために駐車場に停めてあったベンツを盗み、病院から抜け出す。しかし、その車はギャングのものでトランクの中には大金が積まれていた…
監督 | トーマス・ヤーン |
脚本 | トーマス・ヤーン、ティル・シュヴァイガー |
プロデューサー | ティル・シュワイガー、アンドレ・ヘンニック、トム・ツィックラー |
撮影 | ゲーロ・シュテフェン |
美術 | モニカ・バウアー |
衣装 | ヘイケ・ヴェーヴァー |
編集 | アレクサンダー・バーナー |
キャスト | ティル・シュワイガー、ヤン・ヨーゼフ・リーファース、ティエリー・ファン・ベルフェーケ、モーリッツ・ブライブトロイ、レオナルド・ランシンク、ラルフ・ハーフォース、フーブ・スターベル、ルドガー・ハウアー他 |
配信 | U-NEXT,Hulu |
天国よりも青い海を求めて。
愛すべきおバカな登場人物たち、粋なミュージックにコミカルでテンポの良いストーリーが展開されます。
はちゃめちゃでバカらしくて、泥臭い。その中で最後まで必死に生きようともがく男達の美しくも儚い友情と人生の憂を秘めた名作です。
ワイルドで女ったらしなマーチンと純粋で内気なルディ。出会ったばかりの二人ですが、お互いを支え、時には相手のために危険も犯す。友情と呼ぶにはあまりにも簡単ですが、ブロマンス的で唯一無二な絆が愛おしい作品です。

パルプ・フィクションやトレインスポッティング、スナッチ等の作品の雰囲気が好きな方はハマると思いますよ!
スケアクロウ
“カカシの話を知っているか?カラスはカカシを見て怖がってるんじゃない、笑っているんだ”
暴行による罪で6年間の刑務所暮らしを終えたマックス。彼は、洗車事業を始めようとピッツバーグへ向かう途中だった。そんなマックスの様子を伺う小柄な男・ライオン。陽気で人懐っこい彼は船乗りで、デトロイトに置き去りにした妻と子供に会いに行くと話します。意気投合した二人は、一緒に旅をすることになるのだが…
監督 | ジェリー・シャッツバーグ |
プロデューサー | ロバート・M・シャーマン |
脚本 | ギャリー・マイケル・ホワイト |
撮影 | ビルモス・ジグモンド |
編集 | エバン・ロットマン |
音楽 | フレッド・マイロー |
キャスト | アル・パチーノ、ジーン・バックマン、ドロシー・トリスタン、アン・ウェッジワース、リチャード・リンチ、アイリーン・ブレナン、ペニー・アレン、 リチャード・ハックマン、アル・シンゴーロニー他 |
配信 | U-NEXT |
道連れは、孤独と一杯のジョーク
ノスタルジックな雰囲気とメランコリーな哀愁漂うアメリカンニューシネマの名作。
正反対の二人、でも不器用で繊細な部分を違う形で隠している。マックスは怒りに、ライオンは笑いに。そんな二人がお互いの影響を受け合い、かけがえのない存在へと変化していく。この先の未来を予感させるエンディング、悲しさ、尊さ、憂い、様々な感情が押し寄せる作品です。
人間臭い二人をアル・パチーノとジーン・ハックマンが魅力的に演じています。アル・パチーノ演じるライオンのコロコロと変わる表情、おちゃめでキュートなアル・パチーノにメロメロです!
テルマ&ルイーズ
“このまま走って”
主婦のテルマは、日頃のモラハラ夫の言動にうんざりしていた。そんなある日、友人でウェイトレスのルイーズからドライブに誘われる。テルマは、そのことを夫には伝えず家を後にする。旅の途中に立ち寄った店の駐車場でテルマがレイプされそうになり、間一髪阻止したルイーズだったが、謀らずも相手を射殺してしまう。指名手配犯となってしまった二人の旅行は、逃避行の旅へと変わってしまう…
監督 | リドリー・スコット |
脚本 | カーリー・クーリ |
プロデューサー | リドリー・スコット、ミミ・ポーク・ギトリ |
撮影 | エイドリアン・ビドル |
美術 | ノリス・スペンサー |
衣装 | エリザベス・マクブライド |
音楽 | ハンス・ジマー |
編集 | トム・ノーブル |
キャスト | スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス、ハーベイ・カイテル、マイケル・マドセン、クリストファー・マクドナルド、スティーブン・トボロウスキー、ブラッド・ピット、ティモシー・カーハート、ルシンダ・ジェニー、ジェイソン・ベギー他 |
配信 | U-NEXT,Amazonプライムビデオ |
解放と自由を求めた旅。
「エイリアン」や「グラディエーター」を手掛けたリドリー・スコット監督が描く二人の女性の自由を求める旅は、女性版アメリカン・ニューシネマと評されました。
それは悲劇の物語。しかし、その奥には押さえつけられてきた心の解放や自由への希望を感じさせます。むしろ爽快感さえ感じられるのです!
何より、テルマとルイーズがカッコいい!友情か、はたまた恋愛か。愛情深いこの二人を好きにならずにはいられない。また、デビュー間もない若かりし頃のブラッド・ピットを拝むこともできます。
パーフェクト・ワールド
“俺たちは似たもの同士だ”
ブッチと相棒のテリーは、刑務所から脱獄し、ある民家に押し入る。そこで8歳の少年・フィリップを人質に逃亡。テキサス州警察署長ガーネット通称レッドは、犯罪心理学者サリーと共にブッチ達を追跡する。しかしその途中、テリーがフィリップに危害を加えようとしたため、ブッチがテリーを射殺する。こうして二人だけの旅が始まるのだが…
監督 | クリント・イーストウッド |
脚本 | ジョン・リー・ハンコック |
制作総指揮 | バリー・レヴィンソン |
プロデューサー | マーク・ジョンソン、デビッド・バルデス、 |
撮影 | ジャック・N・グリーン |
美術 | ヘンリー・バムステッド |
衣装 | エリカ・エデル・フィリップス |
音楽 | エニー・ニーハウス |
編集 | ジョエル・コックス、ロン・スパング |
キャスト | ケヴィン・コスナー、T・J・ローサー、クリント・イーストウッド、ローラ・ダーン、キース・ザラバッカ、レオ・バーメスター、ポール・ヒューイット他 |
配信 | U-NEXT |
夢に見たのは自由と疑似家族の幻。
ケヴィン・コスナーとクリント・イーストウッドの豪華共演で魅せるクライムスリラー。
幼い頃から刑務所で過ごし、両親の愛を知らずに育ったブッチと、敬虔なカトリック一家で窮屈な日々を送るフィリップ。そんな二人の逃亡劇の終着地点は、切なくも儚い友情。
行く先々で抜群のコンビネーションを披露する二人、父と子のようでもあり、悪ガキコンビとも見える絶妙な距離感がとてつもなく愛おしい作品です。

フィリップの笑顔は世界を救う!
グリーンブック
“この世は複雑だ”
ジム・クロウ法(黒人の公共施設の利用を禁止又は制限する法律)が色濃く残る1960年代。一流ナイトクラブの用心棒として働くトニー・バレロンガだったが、クラブが改装工事のため閉鎖されてしまう。仕事探しをする中で、アフリカ系アメリカ人のピアニスト・ドン・シャーリーの運転手として雇われることになる。しかし、正反対の性格の二人は、しばしば衝突を繰り返してしまう…
監督 | ピーター・ファレリー |
脚本 | ニック・バレロンガ、ブライアン・ヘインズ・カリー、ピーター・ファレリー |
制作総指揮 | ジェフ・スコール、ジョナサン・キング、オクタビア・スペンサー、クワミ・L・パーカー、ジョン・スロス、スティーブン・ファーネス、 |
プロデューサー | ジム・バーク、ニック・バレロンガ、ブライアン・ヘインズ・カリー、ピーター・ファレリー、チャールズ・B・ウェスラー |
撮影 | ショーン・ポーター |
美術 | ティム・ガルビン |
衣装 | ベッツィ・ハイマン |
音楽 | クリス・バワーズ |
編集 | パトリック・J・ドン・ビト |
キャスト | ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリニ、ディミテル・D・マリノフ、マイク・ハットン他 |
配信 | U-NEXT,Amazonプライムビデオ,Netflix |
見つけたのは希望の音色。
「ロード・オブ・ザ・リング」のヴィゴ・モーテンセン、「ムーンライト」のマハーシャラ・アリのタッグで送る伝記ヒューマンドラマ。
粗暴で教養がないが、家族を大事にしているトニーと礼儀正しく、物静かなシャーリー。一言で言えば、優等生と不良。否、母親と息子とも言える場面もちらほら。
それぞれが抱える問題や孤独、そして秘密。人種差別や格差に翻弄されながらも旅の中で徐々にお互いを曝け出していく二人。男臭く、でも繊細で二人の心が近付いていく様が微笑ましい作品です。
ミッドナイト・ラン
“来世で会おう”
元警官で現在は賞金稼ぎのジャック。ある日、そんな彼の元にある依頼が舞い込む。それは、ギャングの金を横領したジョナサン・マデューカスという男をニューヨークからロサンゼルスまで連れて来いというものだった。しかし、ジョナサンは高所恐怖症で飛行機の中で大暴れ。ジャックは仕方なく陸路で旅をすることにするのだが…
監督・制作 | マーティン・ブレスト |
脚本 | ジョージ・ギャロ |
制作総指揮 | ウィリアム・S・ギルモア |
撮影 | ドナルド・ソーリン |
美術 | アンジェロ・グラハム |
衣装 | グロリア・グレシャム |
音楽 | ダニー・エルフマン |
編集 | ビリー・ウェーバー、クリス・レベンゾン、マイケル・トロニック |
キャスト | ロバート・デ・ニーロ、チャールズ・グローディン、ジョン・アシュトン、デニス・ファリナ、ジョー・パントリアーノ、ヤフェット・コットー、リチャード・フォロンジー.ロバート・ミランダ、ジャック・キーホー他 |
配信 | U-NEXT |
笑って泣ける珍道中。
今回紹介する作品の中では、一番メランコリックさがない作品で、ロバート・デ・ニーロとチャールズ・グローディン主演で描く二人の男のロードムービー。
愛すべきキャラクター達が巻き起こすドタバタコメディ。ジャックとジョナサンを追うギャングやFBI、賞金稼ぎのライバルなど強面で悪党のはずだがどこか憎めないちょっとおバカな寸劇感が魅力!
コミカルな演出や会話劇、それに軽快でキャッチーな音楽、カーチェイスや銃撃戦も程よいバランス。ハードボイルドで痛快なエンターテイメントです!

あっさりと、でもしっとり余韻に浸れるラストが好きなんです!
マイ・フレンド・フォーエバー
“ここは地球でエリックはすぐそばにいる”
エリックは、無鉄砲でいつもトラブルを起こす少年。ある日、デクスターという少年が隣に引っ越してきくる。二人は互いに心を通わせ親友になっていくが、デクスターはエイズを患っていた。そんなとき、ニューオーリンズにデクスターを治せるかもしれない医者がいるという噂を聞いた二人は、自転車に飛び乗り、イカダを作って旅に出る…
監督 | ピーター・ホルトン |
脚本 | ロバート・クーン |
製作総指揮 | トッド・ベーカー ビル・ボーデン |
プロデューサー | マーク・バーグ エリック・アイスナー |
撮影 | アンドリュー・ディンテンファズ |
音楽 | デイヴ・グルーシン |
編集 | アンソニー・シェリン |
キャスト | ブラッド・レンフロ、ジョセフ・マゼロ、アナベラ・シオラ、ダイアナ・スカーウィッド、ブルース・デイビソン他 |
配信 | U-NEXT |
ふたりの最後の夏休み。
これは、やさしさと勇気、そして成長の物語。エリックは“勇気”が何なのかを知り、デクスターは“ひとりじゃない”という感覚を初めて手に入れます。
もう二度と戻ってこない、あの一瞬の“少年時代”“子供時代”の純粋さをを思い出させてくれるような作品です。懐かしさとほろ苦さ、喜びも、痛みも、すべてが混ざり合ったとても美しい作品です。
夏休みという設定はなかったかと思うのですが、重くシリアスなストーリーの中に、自由研究をしたり、ちょっとした旅に出ているような好奇心や楽しさを垣間見ることができる青春物語でもあります。
ローガン
“背負って生きろ”
かつては驚異的な治癒能力で無敵を誇っていたウルヴァリンことローガンだったが、体内に埋め込まれた“アダマンチウム”という不壊の金属が、長い年月を経て彼自身を蝕み始めていた。そんな彼の元に、ある日、ローラという謎めいた少女をカナダの国境まで送り届けてほしいという依頼が届き…
監督 | ジェームズ・マンゴールド |
脚本 | ジェームズ・マンゴールド、マイケル・グリーン、スコット・フランク |
原案 | デヴィッド・ジェームズ・ケリー、ジェームズ・マンゴールド |
プロデューサー | ハッチ・パーカー、サイモン・キンバーグ、ローレン・シュラ―・ドナー |
撮影 | ジョン・マシソン |
音楽 | マルコ・ベルトラミ |
編集 | マイケル・マカスカー、ダーク・ウェスターヴェルト |
キャスト | ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ダフネ・キーン、ボイド・ホルブルック |
配信 | Disney+ |
老いてなお、戦い続けた男の伝説
この作品を素晴らしいと思う一方で、あまりに痛ましく、心に重くのしかかる作品でもあるように感じます。自分が子どもの頃から憧れていたヒーローが、老い、弱り、人間的になっていく姿を見るのは、正直辛いです。
でも『ローガン』に関して言えば、これはローガンというヒーローにとって最高の、そしてふさわしい結末だったと思っています。だからこそ、この作品は単なるスーパーヒーロー映画ではなく、一つの力強く美しい映画作品として、確かな価値を持っているのだと思います。
西部劇のようでもあり、ロードムービーでもあり、そして何よりも、喪失・遺産・愛について静かに、そして深く語る物語。なお、アクションシーンはかなり暴力的なので、視聴の際はその点もご注意ください。

父親とお爺ちゃんと孫の逃避行のようで、可愛いところも!
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
私自身ずっとこんな友情を探し求めているような、そんな気がします。そして、どの作品も共に過ごすその瞬間がとてつもなく尊いもので、嫉妬さえ感じてしまう。こんな人が一人でもそばにいてくれれば、人生は最高に尊いものになるのではないか。それが一瞬だとしても…そんな思いが頭をよぎるのです。
もし、今後会うことはなくても、お互いの中に永遠に残り続ける記憶。今回紹介した登場人物たちの旅は、私の心の中にも永遠に生き続けると思います。
不安や孤独に押しつぶされそうなとき、絶望や失望に沈むとき、人生の節目に立たされたとき。この作品は、そんな瞬間にそっと寄り添い、縋りたくなるような優しさを与えてくれます。
ぜひ、観てみてください!