FXドラマ「SHŌGUN 将軍」どんな悪役より恐ろしい吉井虎永という男

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この記事には、第六話から第十話までのネタバレが含まれますので、ご注意下さい。

スコア:⭐️⭐️⭐️⭐️

吉井虎永の決断、戸田広松の忠誠、鞠子の覚悟、それぞれの思惑が渦巻く。最後に笑うのは誰か。

作品情報

  • 『将軍』
  • 配信日 : 2024年2月27日(disney+)
  • 原作 : ジェームズ・クラベル
  • プロデューサー : トム・ウィンチェスター、真田広之
  • 制作総指揮 : ジャスティン・マークス
  • キャスト : 真田広之、コスモ・ジャーヴィス、澤井杏奈、浅野忠信、金井浩人、平岳大、西岡徳馬、阿部進之介、穂志もえか、竹嶋康、成倉悠貴、二階堂ふみ他

このドラマは、イギリス人作家ジェームズ・クラベルの執筆した同名小説を元に作られています。また1980年には、アメリカのNBCが三船敏郎を主役としてドラマ化しています。配信開始から6日間で脅威の900万再生を記録し、全世界から大注目されています

あらすじ

舞台は1600年の日本。太閤殿下亡き後、世継ぎである八重千代はまだ幼く、実権は5人の大名が握っていた。五大老の一人で関東を統治する吉井虎永は、筆頭格である石堂和成、杉山・木山・大野の大名らからあらぬ疑いをかけられ爪弾きにされていた。そんな折、伊豆の網代にオランダの船が漂着する。その船を大阪に呼び寄せた虎永は、乗組員や船に積まれていた武器・物資を手中に収める。船の航海士であり、イギリス人のジョン・ブラックソーンは、言葉の通じない異国の地で様々な経験をすることになるのだった。

前回までの将軍は…

無事に大阪を脱出した虎永は、安針ことブラックソーンの活躍に感服し、彼を旗本とする。藤を妻に迎え、屋敷を与えられたブラックソーン。平和が訪れるかと思いきや、死を軽んじるこの国の文化や鞠子の夫・文太郎の愚挙に憤慨したブラックソーンは、自身の国へ帰ることを虎永に直談判。しかしその瞬間、大地震が起こり軍も街も壊滅状態に陥ってしまう。

5エピソード(ネタバレあり)

第六話 うたかたの女たち  

二十二年前

物語は、鞠子が父・明智仁斎と共に主君である安土の黒田の屋敷にやってきたところから始まる。そこで黒田の娘・後の落葉の方となる瑠璃姫と仲良くなった鞠子。そして時は過ぎ、成長した鞠子は文太郎に嫁ぐことになる。しかし、鞠子は不服の様子。そんな彼女に瑠璃姫は、手に及ばぬことは見なければ良いと諭す。

傷跡

大地震の後、虎永は慰霊祭を行い、死は生きた証であると皆を勇気づける。そして、命の恩人であるブラックソーンへの褒美として関東水軍の大将並びに大砲隊の大将に任命、600石に値する領地を与えた。しかし、ブラックソーンは自身の目的や要望が受け入れられないことに不満を感じていた。一方で、央海はブラックソーンの出世を妬んでいた。薮重は、地震でほぼ壊滅状態の虎永軍を嘆き、石堂との戦で勝ち目はないと悟る。

翌日、虎永は鞠子に暴力を降るった文太郎へ7日間鞠子から離れるよう命じた。ブラックソーンは、日本への滞在を強いられるなら船を明け渡し、ポルトガルへの攻撃を認めるよう虎永に進言するが、拒否されてしまう。ブラックソーンと鞠子の関係に薄々気付いていた虎永は、「うたかたの世」の遊女・お菊との一夜を提案する。そして、鞠子にはそこに同席し、通詞を全うするよう命令するのだった。

大阪では…

戸田広松は、落葉の方や石堂が侍を殺し、大老衆を人質にとっている状況に危機感を抱き、虎永の正室及び側室たちを連れて大阪から脱出を試みる。しかし、彼女達は自らが荷物になることを懸念し、広松に先に行くよう説得する。

落葉の方の出戻りから大阪の状況が深刻になっていること、カトリックへの敵対を懸念し、マルティン・アルビト神父は虎永との同盟も視野に入れるべきとデラクアに忠告する。

瑠璃姫だった頃、父である黒田が暗殺された時のことを思い出す落葉の方。父親の死後、大蓉院から太閤殿下の側室となるよう要求される。薬草で酔わせ、口にすることもできないことを強要されたとも話した。

また大老衆達は、虎永が落ちればこの大阪の状況も鎮火すると考えていた。しかし、大老衆の一人・杉山は落葉と石堂の強硬な姿勢に疑念を抱いていた。

石堂は能の俳優を5人目の大老へと勧誘する。落葉の方は、太閤が虎永を潰さなかったことに憤りを感じていた。これまで以上に、虎永を追い詰める算段を石堂に求めた。

紅天”こうてん”

命からがら網代に到着した戸田広松は、虎永に今の大阪の状況を伝える。敵側へと寝返る味方が増え、時間の猶予もない。そして、今が紅天の時だと言った。紅天とは、一気呵成に大阪城へ攻め入り大老会議を排除、虎永一人を将軍とするものであった。そして、虎永の父親違いの弟・佐伯信辰が加勢に加わってくれるだろうと言う広松。しかし、央海は時間の猶予がある今、危険を犯す必要があるのかと問う。結論を急ぐ長門に対し、将軍になる気はないと言う虎永であった。

うたかたの世

うたかたの世へやってきた鞠子とブラックソーン。二人を迎え入れたお菊は、二人にこう語りかけた。ここへ来られる方達は忘れたいものをお持ちだと。退屈、痛み、苦しみ、落胆から逃れるために来るのだと。我々は、安らぎを与え、最高の瞬間を生み出す。お菊の言葉は次第に鞠子の言葉へと変化する。鞠子は自身の過去の悲しみやブラックソーンへの愛、そして別れを感じているようだ。そして、お菊はブラックソーンを連れ、別室へと歩いてゆくのだった。

鞠子は、なぜ父が自身を嫁がせたのか疑問に思っていた。しかしそれは、自らの戦から鞠子を遠ざけ、後に自身が始めた戦を娘に引き継いでもらいたい一心だったと虎永は話す。鞠子は、その願いを果たすことは出来なかったと言うが、虎永はまだ戦は終わっていないと言う。

大老の死

大老会議では、杉山が太閤殿下の望みを蔑ろにしているのは石堂だとして非難、そして評決も未だ決まることはなかった。そんな石堂の動向に贄を切らした落葉の方は石堂を責めた。

そして石堂は、大阪から脱出しようとする杉山を待ち伏せし、杉山家を皆殺しにした。この事態に虎永は、戦の準備を始めるのだった。

第七話 線香一本の時

初陣

46年前、逸話では初陣を勝利に収めた虎永。敵の武将が「勝ち目のない戦に挑んだのは我が宿命」と言葉を残し、切腹、そして介錯を虎永に頼み込んだ。

愚弟の弟

異父兄弟の弟・佐伯信辰が虎永の要請にて姿を見せる。虎永は、久々の兄弟の再会を祝い、今宵は飲み明かそうと提案する。

宴では、女の話に花が咲き、父親の話を聞かせてほしいとした長門の要望に応じ、虎永初陣の折、敵武将の首を一刀の元に切り落としたと逸話を披露した。怪訝そうな虎永をみかねた平松が話を晒すが、逆に子供の頃、虎永がクソを漏らした話をし、皆の顔を曇らせた。

そして佐伯は、本題へと切り込む。此度の援軍要請に応じる代わりに伊豆の地を我が物としたいことを匂わせる。しかし、既に別の申し出があったと仄めかした。佐伯は、すでに5人目の大老として任命されており、大阪に都城する旨の書状を預かっていた。そして、根原丞善殺しの正式な沙汰として切腹が長門に言い渡される。降伏すれば、虎永の死は免れず、家臣は切腹に処されるだろう。虎永は、翌日の日没に答えを出すと伝えた。

ブラックソーンは、この事態を打破するため、エラスムス号で綱代を脱出することを提案するが鞠子に反対される。

薮重には、丞善殺しの報復として石堂から贈り物が届いた。それは、薮重の家臣の首だった。

虎永は、答えを出せないでいた。瞑想から戻った虎永に戦を迫る長門。何ゆえ戦場に出たことのない者は総じて戦をしたがるのかとため息を吐く虎永であった。

一本の線香

お菊との一夜を買った際、「線香一本分」の内謁の約束をしていたお吟。虎永は、渋々ながら了承する。

若さも知恵も色香も全て捧げ、老いれば捨てられる。そんな遊女達の運命を嘆くお吟は、江戸の都に茶屋のような場所を建て、老いてもなお、芸者たちが芸で生計を立てられるような仕組みを作ることを虎永に提案する。すでに死が目前にある者に約束ができようかと笑う虎永だが、お吟は苦難に磨かれ、食わせ者になったのは虎永も同じだと示唆する。

妬みと嫉妬

ブラックソーンは海岸で薮重から不満をぶちまけられるが、通訳のいない状態では理解することができない。突然刀を抜いた薮重に驚くブラックソーンだが、薮重はブラックソーンに刀の稽古をしようとしているだけであった。しかしその瞬間、文太郎が現れた。刀を抜き、ブラックソーンの喉元へと刃を当てたのだ。刀を納めた文太郎は、虎永の元へ行き、妻を寝とったブラックソーンを許すことができないと伝える。ブラックソーンを処罰するならば、鞠子共々罰を受けなければならないと言うが文太郎はそれは望んでいなかった。

虎永は、この三角関係に嫌気が差し、忠義を尽くすのか、それとも蛮人との関係が大事かと鞠子に問う。答えられない鞠子は、短剣を取り出し、自害させてくれと懇願する。それを虎永は拒否した。

死の足音

虎永は、回答期限が迫る中、初陣の瞬間を振り返る。敵武将・溝口の介錯は、実際には悲惨なものだった。九度も刀を当て、酷いことをなされたと平松は言う。二人が言葉を交わす空気には、どこか見切りをつけた悲壮感すら感じられる。家臣達は、虎永には策があり、切り抜けるチャンスを伺っていると信じているが、その気配はない。ブラックソーンは、皆を追い詰め、苦しめる虎永を批判する。

思いがけない客

佐伯は、うたかたの世でお菊との一夜を楽しんでいた。そこに長門と数名の侍が押しかけてくる。逃げ惑う佐伯。長門が刀を大きく振りかぶり、佐伯に斬りかかろうとしたその瞬間、濡れた石畳で足を滑らせ頭を強打。血が流れ出し、長門はそのまま絶命してしまう。

第八話 奈落の底

49日間

佐伯軍は、息子を亡くした虎永に49日間の猶予を与えた。喪に服す間は、江戸への帰還を認められる。ブラックソーンは、船と乗組員を取り戻し、お役御免となった。晴れて自由の身だ。

石堂は、虎永は降伏したと考えていたが、落葉の方は、喪に服している間は真意を問えず、虎長の脅威も去ったわけではないと言う。石堂は、落葉の方への情愛の念を語る。より一層、二人の繋がりを強めて虎永に対抗する必要があると落葉に語りかける。

愚かで勇敢

長門は、昔木から落ちて腕の骨を折ったことがあった。数日間そのことを誰にも言わなかった。もてなし上手で向こう見ず。皆、口々に長門との思い出を語り合る。央海は家臣団の中で唯一、長門が起こしたこの騒動を褒め称えた。たった一つのものに忠義を誓い、尽くした。主君・虎永に。もし虎永が降伏しようものなら、長門の忠義に対する裏切りだと言わんばかりだ。

降伏の書状

石堂は、降伏の証として鉄砲や大砲を渡すよう要求してきた。薮重は単身大阪に赴き、それらを献上してくるよう広松から言い渡される。

虎永は、鞠子が落葉の方と親しかったことを承知で万が一にでも、落葉の方が自身と盟約を結ぶことがあるかと聞く。あの方の敵は恐れる心であると鞠子は言った。虎永は、家臣達に降伏の書状に署名することを頼む。そして、アルビド神父には、江戸に新しいキリシタン教会を建てることを許可した。虎永は大阪にここで見聞きしたことを伝えるよう促し、自身はただ、静かに死を迎えたいのだと自室へ戻って行ってしまう。

広松は、虎永が戦う気だと考えていた。大阪へ言付けを依頼したのは、何かしらの作戦であると。

手の届かない場所

文太郎は鞠子のために茶を立てた。それは、今までの仕打ちを詫びているようである。文太郎は父・戸田広松がどう言おうと虎永の降伏により皆死ぬ運命にあると悟っていた。かような運命ならば共に死のうではないかと鞠子に話すが、彼女がほしかったのは彼の「手の届かない生き方」だった。文太郎と共に死ぬくらいなら千年生かされたほうがましだと拒絶する。鞠子が去った後、静かに涙を流す文太郎であった。

堕ちた仲間

ブラックソーンは、エラスムス号の船員達を探していた。案内された場所はお世辞にも治安が良いと呼べる場所ではなかった。そこで酔っ払い、売春婦と遊ぶかつての仲間の姿を目撃する。船員は、ブラックソーンが日本に馴染み、名誉を得て、良い暮らしをしていることを妬む。殴り合いになった二人、勝ったのはブラックソーンだった。もう昔には戻れないと悟った彼は、その場を後にする。ブラックソーンがやって来たのは薮重のところだった。盟約を持ち掛けるが断られてしまう。

古き友との別れ

虎永は、家臣や武将を集め、降伏の書状に署名するよう命じた。広松は、戦い抜く意思を曲げない。道半ばで放り出されるつもりかと問いただす。もしお気持ちを変えぬというならば、今ここで腹を切りますると虎永に向けて言い放つ。虎永は意思を変えなかった。そして、広松は腹を切り、文太郎が介錯をした。

虎永は、ブラックソーンが薮重を尋ねることも、薮重が心代わりする可能性も見抜いていた。そして、広松は己の定めと勤めを果たしたのだと。大阪に我らの降伏を信じ込ませるために。そして、鞠子に問う。勤めを果たす覚悟はできているかと。

第九話 紅天

救い

14年前、鞠子の父・明智仁斎が主君である黒田を殺害、自らの手で家族の介錯を強いられた後自身は切腹。鞠子は文太郎に嫁いでいたため免れたが、それ以降、死を望む。そこで出会ったのがマルティン・アルビド神父、もとい信仰だった。神に生かされた。すがるものがほしくなった時に祈るものだと手を差し伸べる。

久々の再会

大阪へ到着した鞠子達。薮重は、明日に迫る石堂との拝謁に備えるため、ブラックソーンにお辞儀の仕方や振る舞いを教える。薮重はまず、ブラックソーンを貢物として売り込んだ。しかし、石堂は蛮人への興味はとっくに失せていた。

その後鞠子が到着し、落葉の方と10代の頃以来の再会を果たす。しかし、鞠子の真の目的は、虎永の妻と側室を連れ、大阪を発つこと。石堂は、非礼を非難するが、鞠子を強制することも、人質を失うことも石堂の立場を危うくする。鞠子は断固として、大阪を去り、江戸へ帰ると断言する。薮重は、これは虎永の作戦かと鞠子に詰め寄るが、真意はわからず。また、息子からは此度の行動は不名誉なことだと非難されてしまう。

一本の槍

翌日、門から出立しようとする鞠子達だが、大阪を出るには石堂の許可状が必要だとして止められる。鞠子は、強硬な態度を変えず、護衛に門番を斬るよう命じる。斬り合いになり、護衛達は全て殺され、残るは鞠子一人。槍を取り、自ら道切り開こうとするが、武器を奪われてしまう。かような不名誉を背負っては生きていけないとして、日没に自害する意思を示した。そして、介錯をキリシタン大名の木山に頼んだ。

もし、鞠子を死なせようものなら、大阪にいる家柄の高い者達から非難される。また逆に、鞠子を解放すれば、人質達もそれに準ずるだろう。どちらに転んでも石堂側に不利に働く。落葉は、降伏するよう鞠子を説得する。ブラックソーンは、私のために生きてほしいと手を取る。しかし、鞠子の決意は固い。最後にアルビド神父に会いに行く鞠子は、自身が神の許しを受ける価値のない人間だと苦しみを吐露する。

日没、白装束を着た鞠子が姿を表す。介錯を頼んだ木山の姿は見えなかった。石堂に禁止されてのこと。カトリック教では、自ら命を断つことは重罪である。そんな鞠子に共感し、また救うようにブラックソーンが介錯を名乗り出た。まさに腹に刃を添えた瞬間、襖が開いた。石堂が許可状を与えたのだ。その夜、鞠子とブラックソーンは体をまじ合わせる。

裏切り

薮重は、石堂と取引をすることで切腹を免れた。鞠子達が寝静まった頃、屋敷に石堂側の忍びを招き入れる。薮重は、自らの裏切りを悟られぬよう警笛を鳴らし、皆を起こす。鞠子を連れ去りにきた忍びに応戦しながら、離れの小屋に避難したブラックソーン達。しかし、運命は残酷にも鞠子に忍び寄る。「此度の石堂様の卑劣な襲撃に物申します。自らの命を。」そう言葉にした鞠子の背後で爆発が起きた。静かな暗闇の中で、アルビド神父の歌が響き渡る。

第十話 夢の中の夢

夢か現実か

年月は過ぎ、年老いベッドで横になっているブラックソーン。十字架を握っている。すると孫が二人、彼の部屋に飾られている刀や戦利品を眺め、彼の過去の栄光に目を輝かせる。

残酷な現実

鞠子の命は散った。ブラックソーンは鞠子を抱きしめ、薮重は自らの過ちに許しをこう。

大老達は、此度の鞠子の死の責任が我らにあると石堂に意見する。石堂は、我らの団結を崩すための虎永の作戦であると考え、出陣はやむを得ないと考える。しかしその瞬間、地震が起こる。大老達はこれを、我々が過ちを犯そうとしているサインではないかと言うが、石堂は評決は整ったとし、戦の準備を始める。

薮重は、鞠子を死に追いやった自責の念にかられていた。薮重は、石堂にこう話す。以前、太閤は虎永と戦になる一歩手前までいったが、その時も地震が起きた。それを不吉な前兆と見たため、戦は取りやめとなったと。そんな薮重の心はここにあらずだ。

最後の願い

爆発により傷を負い、数日眠っていたブラックソーンは、鞠子が埋葬されたことをのちに聞かされる。囚われの身へと戻ってしまった彼は、木山から大阪の港へ行くよう命じられる。アルビド神父に連れられ、港へ続く森を進む。ブラックソーンは、以前のように奇襲に合い、殺されるはずだった。しかし、その予想とは裏腹にアルビドはブラックソーンを無事に港まで送り届けた。ブラックソーンを守ること、それが鞠子の最後の願いだった。アルビドは、その約束を守ったのだった。

綱代に戻りて

綱代に戻った薮重は即刻捕らえられ、虎永の御前に連れてこられる。自身の罪を告白し、切腹を言い渡される。介錯は、薮重の希望により虎永が行うことになった。

そしてもう一つ、ブラックソーンの船・エラスムス号が沈められていた。闇夜に紛れ、キリシタンが攻撃したものとされてきた。虎永の命により、襲撃者、または協力したと見做された者は打首に処されていた。村には、重苦しい雰囲気が漂っている。

桐の方と静の方も無事江戸へと戻ってきた。桐の方の懐には、大阪を出る際に預かった落葉の方からの文があった。それを読んだ虎永は目を閉じ、息をつく。

藤は、虎永より尼になる許可を経て、ここを去ると言う。ブラックソーンは、ここにいて欲しいと言うが、藤は務めを果たしたのだ。

命を賭けて

ブラックソーンは、村の現状に苦言を申した。エラスムス号は、ブラックソーンの命と引き換えに犠牲となったもの。即刻、村人の処刑をやめるよう進言したが、虎永は断った。ならばと自らの命と引き換えに村人の命を助けるよう、切腹を申し出る。虎永はブラックソーンを制止し、船を立て直し、水軍を作るよう促した。

見えない景色

かねてよりのを薮重は、自らも生き延びてこの先の幾多の出来事を見てみたかったと話す。死ぬ前に紅天とは何だったのか教えてほしいと懇願する薮重。紅天は、すでに終わっている。鞠子を一人、大阪に送り込んだ時点で勝敗は決まっていたのだと。鞠子のことで心変わりした落葉は、秘密裏に虎永へ文をよこした。関ヶ原への戦いに、世継ぎの軍を派遣することを取りやめたのだ。「己が勝てば望みはある」これは、ブラックソーンが初めて虎永と顔を合わせた際に言った言葉だ。自らのみが勝利し、将軍という座も思いのまま。薮重は、それが虎永のかねてよりの望みだったのかと問うと、死にゆくものに先々の話をして何とすると虎永は答えた。薮重は腹を決め、短剣を手に切腹、二人は数秒の間視線を交わし、虎永は刀を振り下ろした。

それぞれの歩み

藤とブラックソーンは、過去と決別、新たな人生を歩み始める。藤は、夫と子供の遺骨を。ブラックソーンは十字架を川に沈める。

エラスムス号の引き上げ作業に文太郎がやって来た。ブラックソーンと挨拶を交わし、引き上げ作業に加わった。総動員での引き上げ作業は成功し、ブラックソーンはどこか清々しく空を見上げる。そしてまた、虎永も空を見上げた。

感想(ネタバレあり)

勝つためならどんな手も厭わない策略家・吉井虎永。石堂や落葉などの見える脅威とは違い、奥底に燃える青白い炎の煙のような掴みづらさ。敵の風を読み、しかし敵に己の風は読ませない。巧妙かつ、狡猾。一人一人の判断に任せているように見えて、全て虎永の手のひらの上。目的のためには、感情も殺し、利用できるものは利用する。この作品の中で、ある意味一番恐ろしい人物に思えました。ただ、教会と遊郭を近所にするあたりがたぬき親父で好き🤣笑

正直、何が面白いのかと聞かれると説明に困る作品。交わされる会話の美しさや作品の持つメッセージ、煌びやかな衣装やセット、作り物ではなく、そこに全てが存在しているようなリアルさも感じます。一言で表すなら、「死さえも美しい」作品でした。人間は、様々な思いを抱え、生きてそして散る。強くもその儚い姿に魅了されました。

やはり一番印象に残ったのは、9話の鞠子の覚悟と散り様。結ばれない運命の二人、それでもブラックソーンの中に鞠子を感じる。そんな最後の彼の表情が好きでした。それと、無理だとはわかっていたが、薮重には生きていてほしかった。人間臭く、かっこ悪いのに愛嬌があり、どこまでも死と生に取り憑かれた男。逃げ続けた男の死が意外にもあっさりとしていたのもまた面白い。

もちろん、関ヶ原の合戦を観たかったという気持ちもあるが、戦をせずともすでに勝敗が決まっているという粋な終わり方も嫌いじゃない。シーズン2が制作されることが決定したとの情報もあるので、そちらで描かれる可能性を期待してしまいます😊

今回はここまで!読んでいただき、ありがとうございました♪

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