Netflixドラマ「汚れなき子」監禁されていた女性と子供、犯人の正体は?

Netflix

この記事には、ネタバレが含まれますので、ご注意ください。

スコア : ⭐️⭐️⭐️

得体の知れない不穏な空気感に、先の読めないハラハラドキドキ展開、全体を通してとても楽しめました!

作品情報

  • 『汚れなき子』
  • 配信日: 2023年9月7日
  • 監督・脚本 : イザベル・クリーフェルト、ジュリアン・ペルクセン
  • キャスト : キム・リードル、ナイラ・シューバース、サミー・シャレイン、ハンス・レーヴ、ヘイリー・ルイーズ・ジョーンズ、ユストゥス・フォン・ドナーニー、ジュリカ・ジェンキンス、クリスチャン・ベールマン、セラフィナ・マリア・シュヴァイガー、ウーズグール・カラデニス他

今作のドラマは、ドイツ人作家ロミー・ハウスマンの執筆した同名ベストセラー小説を元に作られています。配信開始の9月4日から一週間のNetflix全世界ランキング(非英語作品)で一位を獲得するなど注目度の高い作品です。

あらすじ

仲良く遊んでいる3人の親子。扉は施錠されている。行動範囲や食事、排泄時間なども決まっており、部屋に設置されているカメラにより、全ての行動を監視されていた。父親が帰ってきた途端、母親は顔を強張らせた。母親と子供たちは、父親の前に一列に並び、手のひらを見せる。それは、何も武器を持っていないという証。そんな厳しいルールの中で暮らしていた母親は、逃亡の末に交通事故に遭ってしまう。身元不明で病院に運ばれたその女性は、13年前に忽然と姿を消したレナという女性なのではないかという疑念が生じる。

ネタバレなし感想

今作の『汚れなき子』は、複雑で先の読めないミステリー展開が見どころ!

この監禁されていた女性は一体何物なのか、13年前に失踪した”レナ”という女性なのか。

女性を監禁し、恐ろしいことを行っているにも関わらず、”パパ”と呼ばれ、子供達に慕われている犯人は一体誰なのか

規律を守り、毅然な態度で大人たちとやり取りをし、感情さえもあまり表に出さない少女ハンナ、彼女は何を考えているのか

真実を探し求める刑事たち、そして、13年前に失踪したレナの両親の叫び。

ヨーロッパ特有の暗く不気味な雰囲気。ヨーロッパのミステリー作品は、どこか生々しくてじめっとした気持ち悪さのある作品が多い気がします。

犯人の正体は、最後までおあずけ。エピソードを観る毎に、犯人は誰なのか、まさかもうすでに登場している人物なのかと、先が気になって仕方がありませんでした。

しかし、この作品は”犯人探し”を重点に置いた作品ではないということを先に申し上げておきたい。そこに期待をするならば、この作品はあまりにもインパクトが弱く薄味となってしまっています。

登場人物たちの心情や行動原理、PTSDによって人間がどれほどの傷を負ってしまうのか。

また、私が感じたのは子供の無垢さというのは時に不気味で、善悪の境界が認識できているのか、定義も曖昧な感じがとても恐ろしく感じました。

俳優達の演技も素晴らしい。特にハンナを演じたナイラ・シューバースちゃんの感情のない冷たい表情、時に見せる子供の顔、ミステリアスなハンナという女の子を魅力たっぷりに演じています。

全エピソード(ネタバレあり)

第1話 ハンナ

監禁場所から逃げ出したレナとハンナ。その道中、車の前に飛び出したレナは、意識不明の重体で病院へ運ばれる。病院に付き添っていた娘のハンナは、そこで看護師のルートと出会う。ハンナは、看護師にママの血液型はAB型のRhマイナスと伝えるが違った。危うく母親の命を奪うところだった。そしてハンナは、ママやパパのこと、弟のヨナタンのことや家の規則について話した。不審に思ったルートは、警察にそのことを話す。一方で、13年前に失踪したレナという女性がいた。この失踪事件を捜査していたゲルト捜査官は、今回の事故の被害者が金髪で30代半ば、レナという名前だと情報を得た。彼は、レナの両親にそのことを知らせてしまう。急いで病院へ向かう両親だったが、この女性はレナではないと言う。しかし、なんとハンナの顔を見た両親は、驚いた様子で少女をレナと呼んだ。そして、なぜか会ったこともないハンナも祖父の顔を認識していた。

第2話 おじいちゃん

両親は、意識不明の女性はレナではないと言ったが、ハンナの方は子供の頃のレナにそっくりだと言う。しかし、目を覚ました女性は、自身をレナと名乗る、何かに従うように。ハンナは、ママと色んなところに旅行をしたと話す。そしてその旅の途中で、おじいちゃんに会ったと語った。事故の捜査をしていたクルト捜査官は、ヨナタンという8歳の弟がいまだ部屋に残っているという情報を得た。事故現場の近くに家があると推測して捜索を続けた結果、現在は廃墟となっている軍事施設にたどり着く。少年の保護のため突入する最中、施設の周りに仕掛けられた地雷で1人の負傷者が出てしまう。

第3話 ハウス

警察は突入を続行。建物の中には、ヨナタンと彼がいる。目を覚ましたレナと名乗る女性は、逃げる際にスノードームで彼を一度殴ったと言う。しかし、建物の中に倒れていた男の顔は何度も切り刻まれ、もはや誰なのか認識できないほどひどい状態となっていた。犯人の状態を見た女性は、やったのは自分ではないと言い張り、取り乱してしまう。また、犯人の死亡を聞いた女性は、自分の名前はヤスミン・グラスだと名乗った。無事に救い出されたヨナタンは、ハンナと再会。クリスマスのプレゼントにサンタさんからもらったスノードームとミス・ティンキーを思い出しながら眠りにつく。家を捜索すると、ハンナが寝ていたと思われるベッドには、祖父の似顔絵が描かれていた。その他にも花や灯台、旅で訪れたと語っていた場所はお話の中のことだった。証拠品の採集中、家に爆弾が仕掛けられていることに気づく。急いで逃げ出した鑑識と捜査官達だが、少なくとも多数の怪我人は出てしまう。そして、DNA鑑定の結果、子供の母親はレナで間違いないが、家の中で倒れていた男とは一致しなかった。犯人は、まだ別にいると目をつける。

第4話 規則

ヤスミンは、広告代理店の面接の帰りに拉致されていた。髪を金髪に染められ、レナとして子供達の母親になるように強制されたのだった。施設の近くの森で遺体が発見される。今回は、本物のレナ・ベックではないかと考えられた。しかし、その遺体もレナではなく、別の女性のものだった。レナの代わりに監禁された女性がヤスミンの他にもいることが判明する。病院から退院することが決まったヤスミン。自由の身になったはずだが、PTSDによる不安感や監視の目を感じ、規則通りの生活を送っていた。ハンナもまた、ルートから『千夜一夜物語』という本をプレゼントされたが、それをカメラに向けて父親に報告をするそぶりを見せる。ゲルト捜査官は、家で倒れていた男の顔を復元し、レナの知り合いではないかと聞いて回るが、誰もその男を知らなかった。ヤスミンは、髪を黒く染め昔の生活に戻ろうとしたが、父親からの贈り物の中に髪を金髪に染めるカラーリングが混ざっていて恐怖に苛まれる。そんな時、ゲルト捜査官が男の復元写真を見てほしいとやってくる。家で倒れていた男は、実はヤスミンを跳ねてしまった車の運転手で、まったくの他人、通りすがりだったのだ。犯人は、まだ生きていてヤスミンを見張っていることが明らかになった。しかし、ヤスミンはゲルト捜査官にこの男が犯人だと言った。

第5話 贈り物

森をさらに捜索すると、別の遺体を発見。レナに似た行方不明者は過去6年で少なくとも8人。ヤスミンは、耐えきれず自ら命を断とうとしたが、ヨナタンやハンナのことを思い出し、踏みとどまった。レナの両親は、ハンナを家族として引き取ろうと考える。そんなある日、レナの元彼のフロリアンが両親を訪ねてきた。警察は、当時レナと関係のあった元彼達を呼び集め、DNA検査の協力を依頼していた。彼は、その道中にベック家へ寄ったのだった。彼は、ホテル業を展開し、結婚と子供にも恵まれていた。DNA検査の結果、フロリアンがハンナの父親であることが判明。レナは、拉致された当時妊娠していたのだ。レナの父親は、孫までも奪われてたまるかと躍起になっていた。捜査は難航、現場の警備をしていたクラスフが容疑者として浮上したが、DNAは一致せず。ヤスミンは、いまだ男の声に悩まされていた。

第6話 レナのために

ハンナがレナの両親の家に引っ越してきた。夫婦間の意見の対立により、妻のカリンは家を出ていってしまう。ハンナが描いた家族の絵には、母親の手に赤ちゃんが抱かれていた。ハンナは、その赤ん坊をサラと呼んだ。レナは、赤ちゃんを産んだ後に産褥熱によって亡くなり、赤ちゃんの命も助からなかった。クルト捜査官は、オランダ警察からの情報で、ヤスパー・ニースケンスという男性が行方不明だと知る。彼の顔は、復元した犯人の顔にそっくりだった。そして彼は、4ヶ月前まで南アフリカにいたため、犯人ではない。ではなぜ、ヤスミンは嘘をついたのか。ゲルト捜査官がヤスミンの様子を伺いに家に向かった。黒く染めたはずの髪を金髪に染め直したヤスミンを不審に思うゲルト。しかし、ヤスミンが呼んだ報道陣に気を取られ、彼女を見失ってしまう。しかし、そこで見知った顔を見つける。警備会社の現社長ラルスだった。クルス捜査官は、ラルスを調べることに。そして、ラルスの母親が気持ち悪いほどレナ・ベックにそっくりだと言う。服装も髪型も被害者と一致。ラルスは、レナに母親を投影し、レナの死後はレナと似た人物を監禁、レナのふりをさせていたのだ。同じ日の朝、レナの父親はハンナが家にいないことに気づく。ハンナは、パパの元へと赴き、母であるヤスミンを一緒に迎えに行くところだった。これで元通りだと喜ぶハンナ。しかし、その前に海が見たいと言う。拘束を解かれたヤスミンは、一瞬の隙をついて持っていたスノードームのガラス片でラルスを刺した。このスノードームの破片は、ヨナタンがヤスミンにあげた物で、男の頭を殴り、逃げ出した時に壊れた破片だった。その後、ハンナがヤスミンに渡したものだった。駆けつけたゲルト捜査官は、ラルスからレナの居場所を聞き出した。その後、レナの父親も現場に到着、手を繋ぎ海で遊ぶヤスミンとハンナを見守った。ヨナタンは、車椅子の青年という友人ができた。そして、ラルスの言った通り家の庭でレナの遺体が発見された。両親は、これで娘を埋葬できるとカウンセリングに話しをした。

ネタバレあり感想

テンポもちょうど良く良質なミステリーサスペンスではあるのですが、どこか煮え切らないモヤモヤもあります。

それは、ハンナの行動や感情が読めない部分にありました。

わたしは全て正しくやった

全て正確に覚えた

だって私は大人だから

ハンナの狙いは、家族が揃い、前と同じ日常に戻ること。「私は全て正しくやった」というのも、父親からの言いつけを守っているのだと。しかし、ヤスミンにスノードームの破片を渡したり、最後にヤスミンと海で遊ぶ様子を見ると、これは初めからハンナの思惑だったのではないかと。度々、差し込まれる母親のレナとハンナの2人っきりの楽しそうな回想シーン。

ハンナの望み、「全て元通り」というのは、母親と2人っきりの生活のことだったのではないか。そのため、最後にヤスミンがパパを手にかけることも想定内だったかもしれない。もちろん、矛盾点もありますし、ヤスミンの計画の可能性もありますが…最後の海辺での清々しい2人の表情を見るとこれが望むべき結果と認識しているような感覚がしました。そのような描写や発言がないので、真意はわからないのですが、そうだったらある意味面白怖いなと…笑

疑問点

・パーティの帰り道、レナに忍び寄る車は一体誰だったのか。犯人である必要はないが、誰だったのかの描写はなし。

・ルートは本当に事故死だったのか。ブレーカーが全て下がっていたことを鑑みてもに誰かに襲われたと考えるのが妥当だが、その後の描写はなし。

・ヨナタンの父親は一体誰だったのか。犯人のラルス?その後の描写はなし。

最後に

全6話と短くも、ミステリー・スリラー・サスペンスといろんな要素を兼ね備えた作品です。観始めると先が気になって一気見することは間違いなしです!完璧という作品ではないですが、次は何が起きるんだ、何が真実なんだと好奇心をくすぐってきます。そして、被害者側も何を考えているのかわからない不穏な空気感、この雰囲気が癖になってきますよ〜!ぜひ、観てみてください♪

汚れなき子 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
監禁されていた場所から逃げ出し、発見された正体不明の女性。捜査官たちは、事件を調べるうちに、13年前に発生した未解決の失踪事件に関する恐ろしい真実にたどり着く。
タイトルとURLをコピーしました